Press Release

車両全般の不具合は改善傾向にあるものの、テクノロジー領域の不具合指摘が増加

日本の新車初期品質のセグメント別ランキングではトヨタと日産それぞれが2モデルでセグメント1位

ブランドランキングではトヨタが1位

 

東京:2015年8月27日 ― 前年に比べ車両全体の不具合指摘は減少しているものの、ナビゲーションシステムに加え、音声認識やブルートゥースシステムといったテクノロジー領域の不具合指摘が増える傾向にあることが、J.D. パワー アジア・パシフィック2015年日本自動車初期品質調査SM(Initial Quality Study、略称IQS)によって明らかになった。

J.D. パワーの自動車初期品質調査は、世界各国で実施され、新車の品質を調べる業界のベンチマークの役割を果たしている。日本では今年で5回目の実施となる。また、2014年には米国調査にあわせ新テクノロジー・機能面を強化、刷新している。

本調査では、新車購入後2~9ヶ月経過したユーザーを対象に233の項目にわたってユーザーの不具合経験を聴取しており、それらの項目は外装、走行性能、装備品/コントロール/ディスプレイ、オーディオ/コミュニケーション/エンターテインメント/ナビゲーション(ACEN)、シート、空調、内装、エンジン/トランスミッション(Eng/Trans)の8つのカテゴリーに分かれている。すべての不具合項目は車100台当たりの不具合指摘件数(Problems Per 100 vehicles = PP100)として集計され、数値が小さいほど品質が高いことを示す。

調査の結果、2015年の総合不具合指摘件数は80PP100となり、前年と比較して4ポイントのスコア改善となった。カテゴリー別にみると、前年からのスコア改善には、Eng/Trans (-2.4PP100 )、シート(-1.4PP100)、走行性能(-1.1P100)が寄与している。一方、ACENは唯一、前年からの不具合指摘件数が悪化(+1.1PP100)したカテゴリーとなっている。

本年の調査では、ナビゲーションシステムの装着率は80%以上(前年比3%増)、ブルートゥース接続機能については60%(同8%増)、音声認識システム31%(同6%増)となっていることが分かった。これら装備の装着率の上昇がACENカテゴリーの不具合指摘増につながったと言える。

『本年調査では、多くのカテゴリーで不具合指摘件数スコアの改善が確認できた。一方で、ACENは内装カテゴリーに次いで2番目に不具合指摘の多いカテゴリーとなった。』とJ.D. パワー アジア・パシフィックのオートモーティブ部門シニアディレクターである川橋敦は述べている。『日本市場においても、スマートフォンやその他メディアデバイスシステムは広く普及してきており、車内利用におけるニーズを理解することが、ACEN領域の満足度改善には重要といえる。また、予防安全装備の重要性も増しており、装備品/コントロール/ディスプレイカテゴリーについても、今後もより一層のユーザーニーズの理解や不満領域の解消が、自動車ブランドや製品ロイヤルティ強化には非常に重要である。』と川橋は指摘する。

前年調査で、2番目に不具合指摘の多いカテゴリーであったEng/Transのスコアは改善しており、軽自動車およびコンパクトセグメントの同カテゴリーのスコア改善が大きく寄与している。

<セグメント別の傾向>

  • 軽自動車セグメント

総合不具合指摘件数は73PP100で、前年から4ポイント改善した。Eng/Trans(前年比-3.5)と空調(同-2.0)カテゴリーがスコア改善に寄与している。一方、ACENは前年から不具合指摘件数が1.7ポイント増加した。

  • コンパクトセグメント

総合不具合指摘件数は83PP100で、前年から3ポイント改善した。Eng/Trans(同-3.4)、走行性能(同-2.4)、シート(同-2.3)カテゴリーが計8ポイント以上の改善に寄与しているが、ACEN(同+1.8)をはじめとする他のカテゴリーで不具合指摘件数の増加により、総合の改善は3ポイントにとどまる。

  • ミッドサイズセグメント

総合不具合指摘件数は88PP100で、前年から6ポイント改善した。内装(同-2.7)、シート(同-2.5)、装備品(同-2.4)カテゴリーがスコア改善に寄与している。一方、外装をはじめとする他のカテゴリーは全て0.5ポイント前後の不具合指摘増となっている。

  • ミニバンセグメント

総合不具合指摘件数は81PP100で、前年から5ポイント改善した。シート(同-2.5)、Eng/Trans(同-1.8)、運転性能(同-1.4)、装備品(同-1.2)、内装(同-0.8)の5つのカテゴリーがスコア改善に寄与している。外装、ACEN、空調は各1ポイント前後の不具合指摘増となっている。

  • ラージセグメント[1]

総合不具合指摘件数は82PP100で、前年から7ポイント改善した。シート(同-2.6)、ACEN(同-2.3)、外装(同-1.5)カテゴリーがスコア向上に寄与している。一方、装備品/コントロール/ディスプレイは前年から不具合指摘件数が1.2ポイント増加した。

[1] 対象モデル数が不十分なため、セグメントランキング公表対象外

 

2015年ランキングのハイライト

ブランドランキングでは、トヨタが69PP100で第1位となった。第2位はスズキ(71PP100)、第3位はダイハツ(78PP100)となっている。

今回ランキングが発表された4つの車両セグメント別モデルランキングは以下のようになった。

  • 軽自動車セグメント:日産 モコが1位、スズキ ラパンが2位、ダイハツ ミライースが3位となった
  • コンパクトセグメント:トヨタ アクアが1位、ヴィッツが2位、ラクティスが3位となった
  • ミッドサイズセグメント:日産 リーフが1位、トヨタ カローラが2位、SAIが3位となった
  • ミニバンセグメント:トヨタ ヴェルファイアが1位、ホンダ フリードが2位、トヨタ エスクァイアが3位となった

2015年の日本自動車初期品質調査は、新車購入後2~9ヶ月経過したユーザー18,649人から回答を得た。調査対象の車両は全16ブランド、121モデルであり、有効サンプル数が100サンプル以上のブランドおよびモデルをランキング対象としている。調査は2015年5月から6月にかけて実施された。

 

日本自動車初期品質調査は、J.D. パワー アジア・パシフィックの代表的な8つの自動車関連のベンチマーク調査の一つである。2015年に実施するその他の調査は下記の日程でリリース予定である。

  •  自家用の乗用車(軽自動車を含む)のスタッドレスタイヤの満足度を測定した、2015年日本冬用タイヤ顧客満足度(W-TSI)調査を5月に発表した。
  •  自動車を新車で購入したユーザーを対象に、新車購入店の顧客満足度を測定した2015年日本自動車セールス満足度(Sales Satisfaction Index、略称SSI)調査を8月に発表した。
  •  新車購入店でサービスを受けた際の顧客満足度を測定した2015年日本自動車サービス満足度(Customer Service Index、略称CSI)調査を本年9月に発表する予定である。
  •  自動車を新車で購入後2~9ヶ月が経過した個人ユーザーを対象に、自動車の性能やデザインなどの商品魅力度に関する評価を測定した、2015年日本自動車商品魅力度(Automotive Performance, Execution and Layout、略称APEAL)調査を本年9月に発表する予定である。
  •  自動車を新車で購入後37~54ヶ月が経過した個人ユーザーを対象に、直近1年間に経験した車両の耐久品質上の不具合を測定した、2015年日本自動車耐久品質調査(Vehicle Dependability Study、略称VDS)を本年10月に初めて発表する予定である。
  •  自動車メーカー純正ならびに市販ブランドのナビゲーションシステムの満足度を測定した、2015年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査を本年10月に発表する予定である。
  •  リプレイスタイヤを新品で購入した顧客の満足度を測定した、2015年日本リプレイスタイヤ顧客満足度調査を本年10月に発表する予定である。
  •  

*J.D. パワーが結果を発表する調査はすべてJ.D. パワーが第三者機関として自主企画により実施したものです。

<ご注意>

本紙は報道用資料です。(株)J.D. パワー アジア・パシフィックの許可無く本資料に掲載されている情報および結果を広告または販促活動に転用することを禁止します。

 

 

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