CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2023年生命保険金請求対応満足度調査SMの結果を発表した。
総合満足度は大きく低下、特に医療給付金請求で満足度が顕著に下落
本調査は、新型コロナウイルス感染症による給付金請求が過去最多を迎える中、直近1年以内における生命保険会社の保険金請求対応に関して調査を実施した。
総合満足度は、前年調査(2022年3月発表)に比べ-12ポイントとなり、医療給付金に関する請求で大きく低下した。特に、新型コロナウイルス感染時の「みなし入院」に対する入院給付金の支払対象見直し前後となる2022年9月と10月については、さらに-20ポイント以上の低下が見られ、全体の総合満足度を押し下げる要因となった。なお、ファクター別では、「保険金支払」ファクターでの満足度低下が顕著であった。
保険金支払までの期間の長期化が満足度低下に大きく影響
医療給付金の請求チャネルにおいて、コールセンター経由での請求が減少し、ホームページチャネルでの請求が増加している。これは給付金請求件数の急増により、コールセンターがつながりにくい中、生命保険会社各社がホームページからの請求を促した結果によるものと推察される。また、ホームページ上で「すべての手続きが完了した」割合は、前年に比べ+9ポイント増加しており、手続き面での改善が見られる。
一方、利用率の上がったホームページチャネルをはじめ、営業担当者、店舗窓口、コールセンター等、全てのチャネルを通して、医療給付金の請求を行った人の総合満足度に大幅な低下が見られた。最も低下した評価項目は「保険金支払までの迅速さ」であり、「保険金支払までの経過報告の適切さ」が続く。また、各社で差はあるが、保険金支払までの期間長期化は本調査でも確認され、生命保険会社へ請求書類を提出してから入金までの期間について「1カ月超」の割合が前年の1%から10%に増加した。さらに、支払予定日から遅れたという回答も、前年の1%から7%に増加が見られ、こういった保険金支払の遅延や不確定さが各社の総合満足度の低下につながったことがうかがえる。
一方で、給付金決定までの所要期間についてコールセンターや営業担当者から説明があった場合は、なかった場合に比べ、総合満足度が+69ポイント高いことも確認された。すなわち、保険金請求対応において、見通しのつきにくい状況下であっても、顧客への説明や経過報告は、顧客満足度の低下防止に有効であると言える。
J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門 常務執行役員 梅澤希一のコメント
「今回の調査では、新型コロナウイルス感染時の「みなし入院」に対する入院給付金の支払対象見直しに伴う駆け込みでの請求が大幅に増加する中、ピーク時における請求手続きの各社の対応力を問われたことが大きなポイントであった。生命保険会社へ請求書類を提出してから入金までの期間で「1カ月超」の割合は前年の1%から10%へ増加しており、月別ではピークの2022年9月は23%にまで達していた。ただ、給付金決定までの所要期間についてコールセンターや営業担当者から説明があった場合には相対的に満足度が高いことから、こうした厳しい状況にこそ顧客への丁寧な説明が顧客満足度維持の観点からは重要であると言える。生命保険会社各社は新型コロナウイルスの感染者に支払う入院給付金の対象を限定する上で「丁寧な説明が重要」としているが、今回の調査結果はその実効性について確認と改善点の洗い出しの必要性を示唆する内容であると言える。」
J.D. パワー 2023年生命保険金請求対応満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
第1位:住友生命(717ポイント)
「保険金支払」ファクターで最高評価。
第2位:明治安田生命(713ポイント)
第3位:ソニー生命(712ポイント)
「請求手続」ファクターで最高評価。
《 J.D. パワー 2023年生命保険金請求対応満足度調査SM 概要 》
年に1回、直近1年以内に保険金・給付金の申請手続きを行った顧客を対象に、請求プロセスにおける保険会社に対する満足度を聴取し明らかにする調査。今回で13回目の実施となる。
■実施期間:2022年11月中旬~12月上旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:直近1年以内に保険金・給付金の申請手続きを行った人(20歳以上)
■調査回答者数:7,516人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「顧客対応」(38%)、「保険金支払」(37%)、「請求手続」(25%)となっている(カッコ内は影響度)。
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
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J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。
事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。