コロナ前に年1回以上旅行していた人の旅行機会、コロナ禍で国内旅行は6割、海外旅行は8割が減少。 海外旅行意向はコロナの影響に加えて円安も影響し遅い回復。
顧客満足度(CS)調査や消費者動向に関するリサーチ・コンサルティング会社である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は2022年12月に、「コロナ前後の国内旅行に関するアンケート調査」を実施しました。
調査結果の中から、国内旅行・海外旅行機会の増減や、コロナ禍での旅行に代わる支出、今後の旅行意向について紹介します。
調査結果ダイジェスト
- コロナ前に国内もしくは海外に年1回以上プライベートの旅行をしていた割合は全体の約6割。
- コロナ前に年1回以上旅行をしていた人のうち、国内旅行は約6割、海外旅行は約8割が機会減少と回答。
海外旅行は年齢が上がるにつれ減少幅が拡大。 - 旅行の代わりに最も支出が増えたのは「自宅での食費」(35%)、若年層ほど「外食」、「動画配信サービス」、「ファッション/美容」など多方面での支出が活発。支出を増やしていない人も3割以上。
- コロナ前に年1回以上国内旅行をしていた人の8割以上は、今後1年以内の国内旅行意向がある一方、海外旅行は年1回以上海外旅行をしていた人でも今後の意向は半数に留まる。
- 旅行に行かない理由のトップは「コロナの感染リスク」。海外旅行では「円安」も大きなマイナス要因。
- 国内旅行で興味があること、世代を問わず「グルメツアー/食べ歩き」、若年層やミドル層は「テーマパーク」、プレシニア層以上は「史跡巡り」も高い人気。
コロナ前の旅行頻度
コロナ前に、年に1回以上プライベートでの国内旅行・海外旅行をしていた人は全体の約6割
*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳
新型コロナウイルス流行前のプライベートでの国内/海外旅行の有無をまとめました。
コロナ前に「国内旅行のみ年1回以上」していた人の割合は51%、「国内/海外共に年1回以上」していた人の割合は10%で、合わせると約6割が年1回以上の旅行をしていました。
世代別では、若年層とシニア層ではミドル層/プレシニア層に比べると、旅行機会が多いという結果となりました。
若年層では国内旅行に加えて、他の世代より海外旅行をしていた様子もうかがえます。
コロナ前後での旅行頻度の変化
コロナ前に年1回以上旅行していた人のうち、国内は約6割、海外は約8割が旅行機会が減少
*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳
コロナ前後での旅行機会の増減に関して尋ねました。
回答者全体では、国内旅行の「機会は減った」は46%で、「変わらない」(48%)とほぼ同等です。
一方、海外旅行では「機会は減った」は23%で、「変わらない」(76%)が多数を占めています。
しかし、これをコロナ前に国内旅行・海外旅行それぞれ年1回以上の旅行をしていた人に限定すると、「機会は減った」は国内旅行では61%、海外旅行では81%にも上ります。年1回以上と、定期的に旅行をしていた人にとって、コロナ禍で旅行機会が大きく減少していたことが明確になっており、特に海外旅行でその傾向がはっきりと表れています。
世代別にみると、国内旅行では若年層は「変わらない」という割合が40%を占め、他の世代よりは比較的アクティブに旅行に行っていた様子がうかがえます。
海外旅行では、年齢層が高くなるにつれ、「機会が減った」割合が高くなることが顕著に表れており、海外旅行に対するより慎重な態度が見られます。
旅行の代わりに増やした支出
旅行の代わりに最も支出を増やしたのは「自宅での食事」(35%)、支出を増やしていない人も33%
では、旅行機会が減少した人は、その分の支出を何に回したのでしょうか。
国内・海外旅行の機会が減少したという人に対して、代わりに増やした支出項目を尋ねてみました。
最も支出を増やした割合が高かったのは「自宅での食費」が35%、次いで「外食」が20%となり、旅行に代わる楽しみとして「食」を充実させた人が多かったことがわかりました。
また、「動画配信サービス」(16%)、「ファッション/美容」(12%)、「電子機器/家電」(11%)が1割を超えています。
その一方で、全体の3分の1が「増やした支出はない」という回答でした。
旅行の代わりに増やした支出(世代別)
若年層ほど多方面での支出が活発に。シニア層では「自宅での食費」を増やした人は一定層いるものの、半数近くが代替消費はなし
*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳
旅行機会が減少した人が代わりに増やした支出項目を世代別に見てみました。
若年層は「外食」「動画配信サービス」「ファッション/美容」「映画/コンサート/レジャー施設」「推し活」など、多くの項目で全体よりも支出を増やした割合が高く、コロナ禍で控え気味だった旅行の代わりの消費も比較的積極的であった様子がうかがえます。
それに対してシニア層は、「自宅での食費」が30%、「外食」が18%となった以外は、いずれの項目も10%以下となり、半数近くの46%が「旅行の代わりに増やした支出はない」と回答しました。
シニア層は海外旅行機会も大きく減少しており、新型コロナウイルス感染拡大により、全般的に消費がしぼんでしまったと言えそうです。
今後1年間の旅行意向
コロナ前に旅行をしていた人の8割は国内旅行意向がある一方、海外旅行は半数に留まる
今後1年間の旅行意向について尋ねました。
国内旅行に「行くと思う」もしくは「たぶん行くと思う」と回答した人は、全体では62%でした。コロナ前に年1回以上国内旅行をしていた人に限定すると83%になり、元々国内旅行をしていた人の大半の旅行意向は回復しているようです。
海外旅行についてはどうでしょうか。「行くと思う」もしくは「たぶん行くと思う」と回答した人は、全体では12%でした。
コロナ前は年1回以上海外旅行をしていた人に限ってみても50%となり、国内旅行ほどの回復はまだ望めないようです。
旅行に行かない理由
トップは「コロナの感染リスク」、海外旅行では「円安」や心理面のハードルも大きなマイナス要因
コロナ前には年に1回以上、国内旅行や海外旅行をしていたにも関わらず、今後1年は旅行しないと回答した人はどのような理由があるでしょうか。
国内旅行、海外旅行共に「新型コロナウイルスへの感染リスク」がトップで40%を超えており、調査実施時点(2022年12月)では新型コロナウイルスの影響が尾を引いている様子でした。
次いで、国内旅行をしない理由では「物価が高くなった」(34%)、「経済的な余裕がない」(32%)が続きます。海外旅行をしない理由では「円安になった」(45%)、「燃油サーチャージが高くなった」(30%)が続いており、最近の経済的な要因、特に海外旅行における円安は旅行に大きな影響を与えています。
なお、「まだ世間的に堂々と旅行をする雰囲気じゃない」は、国内旅行では18%なのに対し、海外旅行では29%、「周囲の目が気になる」は国内旅行では8%に対し、海外旅行では21%、と国内旅行と海外旅行で大きな差が見られています。海外旅行の需要回復には、周囲を気にする心理的なハードルも無視できない要因となっているようです。
国内旅行で興味があること
世代を問わず人気の「グルメツアー/食べ歩き」、若年層/ミドル層はテーマパーク、プレシニア層以上は史跡巡りも人気
*若年層:20~34歳、ミドル層:35~44歳、プレシニア層:45~59歳、シニア層:60~69歳
今後1年以内に国内旅行に行くと思うと回答した人に、国内旅行で興味があることを聞いてみました。
世代を問わずにトップとなっているのは「グルメツアー/食べ歩き」(57%)で、広く根強い需要があることがわかります。
2位は「テーマパーク/動物園/水族館」(48%)で、特に若年層、ミドル層を中心に人気を集めています。
3位は「湯治/サウナ」(42%)で、特にがシニア層を中心に人気を集めています。
4位は「歴史・史跡巡り」(39%)は、プレシニア以上で特に関心が高いようです。
「フェス/コンサート」、「キャンプ」、「アニメ・ドラマなどの聖地巡り」などは全体としては上位には挙りませんでしたが、若い世代ほど関心が高いものがありました
まとめ
コロナ前には年に1回以上の国内旅行や海外旅行を楽しんでいた人も、コロナ禍により旅行機会が大きく減少したことが、今回の調査結果から確認されました。しかしながら、今後の旅行意向を見ると国内旅行は順調な需要回復が見込まれ、「食べ歩き」「テーマパーク」「湯治/サウナ」など、世代別の違いはあれ、様々な興味のもとに新型コロナウイルスに煩わされずに国内旅行を楽しむ人たちが多くなっていくと考えられます。
一方、海外旅行はシニア層を中心に旅行機会が大きく減少していましたが、コロナ前に年に1回以上の海外旅行に行っていた人に限ってみても、今後1年以内ではまだ半数が「海外旅行に行かないと思う」と回答しています。その原因は、依然として新型コロナウイルスへの感染リスクであり、加えて、円安や燃油サーチャージの高騰などコスト面での影響、そして海外旅行をすることに対して周囲の目を気にする心理的な要因も大きい様子がうかがえます。
5月には新型コロナウイルスの感染法上の位置づけの変更、海外からの帰国時の水際対策の終了など、少なくともコロナ禍の海外旅行への影響は軽減されています。円安や燃油サーチャージによる海外旅行費用の高騰が急激に解決されることは難しいとは考えられますが、控えていた海外旅行に対する消費者の気持ちを高めるとともに、コスト面でも旅行しやすい商品の提供や魅力的なキャンペーンの実施など、消費者ニーズや感情に合致した積極的な施策の展開による機運の醸成が求められていると言えるでしょう。
調査概要
国内・海外旅行機会の増減、旅行の代替支出、旅行意向に関するアンケート調査
■調査方法:インターネット調査
■調査期間:2022年12月
■対象者:20~69歳の計5,400名
この他の旅行に関するアンケート調査レポートも併せてご覧ください。
『国内旅行の実態や旅行支援策の効果』 https://japan.jdpower.com/ja/resources/2023_newsletter_travel_vol1
『コロナ前の旅行実態と今後の意向』 https://japan.jdpower.com/ja/resources/2023_newsletter_travel_vol2
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