CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. Power(本社:米国ミシガン州トロイ)は、現地時間8月13日に、2025 U.S. Electric Vehicle Experience (EVX) Public Charging Study(2025 年米国EVエクスペリエンス - 公共充電調査)の結果を発表した。本調査は「AC 普通充電(レベル2)」と「DC 急速充電」の2タイプの公共充電サービスに対する米国の EV 所有者の満足度を聴取したものである。
米国電気自動車インフラ(NEVI)への資金提供をめぐる不確実性が依然として続く中、米国の電気自動車(EV)公共充電業界は、強い回復力と進歩の兆しを示していることが明らかになった。EV所有者が公共充電ステーションを訪れたものの車両の充電を断念した割合-非充電訪問(Non-charging visits)は、過去4年間で最も低く、信頼性と顧客体験が着実に向上していることを明確に示している。この画期的な成果は、連邦政府の資金援助の遅れや政治情勢の変化の中でも、公共充電インフラの発展に向けた業界全体のコミットメントを反映している。
本年調査のDC急速充電器の顧客満足度は前年比-10ポイントの654ポイント(1,000ポイント満点)で、特に支払いやコストに関連する項目で顕著な低下が見られた。AC 普通 充電の顧客満足度は前年比-7ポイントの607ポイントだった。全体的な満足度は低下したものの、充電の信頼性には顕著な改善が見られ、公共充電ステーションを訪れたが充電を断念したとの回答はわずか14%で、2024年から-5ポイントの大幅な減少となっている。
2025年調査の主なポイントは下記の通り:
EV所有者は充電コストに不満
AC 普通充電の顧客満足度は459ポイント(前年比-16ポイント)、DC急速充電器の顧客満足度は430ポイント(前年比-16ポイント)といずれも低下している。DC急速充電器の「充電コスト」ファクターは全10ファクター中全体的に最も低い側面を示している。この満足度の低下の一因は、テスラ所有者以外のユーザーがテスラのSuperchargerを利用していることにある。これらのユーザーは、テスラ車所有者と比べて、発生したコストに対してはるかに低い満足度を示している。さらに、これまで多くのDC急速充電ネットワークは市場での存在感を高めるために価格を低く設定し、自動車メーカーは車両購入時に無料充電の特典を定期的に提供してきたが、インフラ市場の進化と電力料金の上昇に伴い、充電価格が大幅に上昇するケースがみられ、これがEV所有体験全体に直接的な影響を与えていると考えられる。
自動車メーカーが運営するDC急速充電ネットワーク、好調な初期パフォーマンス
テスラのSuperchargerの顧客満足度スコアは709ポイントで、DC急速充電器(DCFC)セグメントで引き続き首位を維持しているものの、前年から22ポイントの減少となっている。一方、メルセデス・ベンツのCharging Network、リヴィアンのAdventure Network、フォードのChargeなど、テスラ以外の自動車メーカーが運営するネットワークの顧客満足度スコアは709ポイントで、テスラと同等の評価を得ている。これらのネットワークは、展開規模が限られているため、本年調査ではランキング対象外となったが、初期のパフォーマンスは、各メーカーがテスラのブランドエコシステムから得た教訓をうまく応用していることを示唆している。一方、より幅広い顧客層をターゲットにするという追加の課題を抱えるサードパーティのDCFCプロバイダーの平均スコアは591ポイントとなった。
エリアにより異なる、非充電訪問と充電器の空き状況
EV充電体験をより深く理解するために、J.D. パワーは全米の公共ステーションにおける非充電訪問と充電器の空き状況をモニタリングしている。調査結果によると、太平洋地域は、非充電訪問の割合が最も高く(21%)、充電器が空くまでの待ち時間を体験した人の割合は12%であった。これに対し、東南中部地域は、両方の問題の発生率が最も低く、非充電訪問は7%、待ち時間は5%であった。主要都市の中では、シアトル(25%)およびロサンゼルス(24%)で非充電訪問の割合が高く、サンフランシスコ(18%)およびデンバー(14%)では待ち時間の割合が高い。非充電訪問の最も一般的な理由は、充電器が故障している又は正常に動作していないことで、6割に該当する。
初めてEVを購入した所有者、ベテランEV所有者よりも高い満足度
公共充電の両セグメントにおいて、初めてEVを購入した所有者は、経験豊富なEV所有者よりも満足度が高い傾向が見られた。AC 普通充電では、初心者のEV所有者の満足度は610ポイントで、ベテランEV所有者の満足度は592ポイントだった。DC急速充電器では、初心者(654ポイント)とベテラン(648ポイント)の間の満足度の差はやや小さい。この傾向の背景には、ベテランEV所有者が技術的進化に対してより高い期待を抱いており、現在の車両や充電器の性能がその期待に十分応えられていないことが一因として考えられる。
J.D. パワー EV部門 エグゼクティブディレクター ブレント・グルーバーのコメント
「NEVIプログラムによる資金提供がない中で、業界ではEVエコシステムの様々な関係者、特に自動車メーカーと充電ネットワークが協力して、公共充電ステーションの顧客体験を向上させる取り組みを進めています。連邦政府の資金援助の有無にかかわらず、NEVIガイドラインは業界の成功に向けた手引きを確立することで、その存在感を示しています。本年調査の総合満足度スコアは低下したものの、調査データは公共充電の信頼性と成功率における明確な改善を示しており、業界にとっては前向きな進展の兆しです。
DC急速充電器の拡充が重要であることに変わりはありませんが、データは、充電速度の向上だけでは公共充電の課題を解決する手段にはならないことを強く示しています。信頼性の向上、使いやすさの改善、費用に関する懸念への対応など、公共EV充電体験全体を向上させるために優先すべき要素は多数存在します。
J.D. パワーは分析の一環として、全国の公共充電ステーションのパフォーマンスを、充電の失敗回数や利用回数を測定することでモニタリングしており、顧客体験が改善されている分野と依然として課題が残っている分野に関する重要なデータも提供しています。」
J.D. パワー 2025 年米国EVエクスペリエンス - 公共充電調査 No.1 を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
<AC 普通充電(レベル2)>
第1位:Tesla Destination (661ポイント)
第2位:ChargePoint(628ポイント)
<DC急速充電>
第1位:Tesla Supercharger(709ポイント)
第2位:Red E(668ポイント)
J.D. パワー 2025年米国EVエクスペリエンス(EVX)- 公共充電調査SM概要
年に一回、バッテリー式電気自動車(BEV)またはプラグインハイブリッド車(PHEV)の所有者を対象に、 「AC 普通充電(レベル2)」と「DC 急速充電」の2タイプの公共充電サービスに対する満足度を聴取した調査。 公共充電設備に対する消費者の意識や行動についても調べている。 本調査は、米国で業界をリードする EV ドライバーアプリブランド兼調査会社である PlugShare の協力を得て実施 している。今年で5回目の実施。
■実施期間:2025年1月~6月
■調査対象:バッテリー式電気自動車(BEV)またはプラグインハイブリッド車(PHEV)の所有者
■調査回答者数:7,428 人
顧客満足度を構成する 10 ファクターは下記の通り:
ease of charging(充電のしやすさ)、speed of charging(充電速度)、physical condition of charging station (充電ステーションの設備の状態)、availability of charger(充電器の充足度)、convenience of this location (設置場所の利便性)、things to do while charging(充電中の時間つぶし)、how safe you feel at this location (設置場所の安全性)、ease of finding this location(設置場所の見つけやすさ)、cost of charging (充電コスト)、ease of payment(支払いのしやすさ)
*本報道資料は現地時間 2025年8月13日に米国で発表されたリリースを要約したものです。 原文リリースはこちら
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
詳細はhttps://japan.jdpower.com/ja/our-benchmarking-study-methodologyをご覧ください。
【ご注意】チャートやデータを記事に引用する場合には、出典元として本調査名を明記してください。
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J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは自動車に関するデータと分析の国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。自動車業界及びその他の主要産業に、業界インテリジェンスや消費者インサイト、アドバイザリー、ソリューションを提供しています。
独自の広範なデータセットとソフトウェア機能を高度な分析および人工知能ツールと組み合わせて活用し、クライアントのビジネスパフォーマンスの最適化を支援しています。
J.D. パワーは 1968 年に設立され、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。