報道用資料:
2016年日本自動車耐久品質調査
東京:2016年10月20日-新車からの車歴3-5年の車両の品質不具合指摘が前年から改善し、日本の自動車の耐久品質が改善していることが、J.D. パワー 2016年日本自動車耐久品質調査SM(Vehicle Dependability Study、略称VDS)によって明らかになった。
J.D. パワーの自動車耐久品質調査は、世界各国で実施され、車両の耐久品質を調べる業界のベンチマークの役割を果たしており、日本では本年が2回目の実施となる。
本調査では、新車購入後37-54ヶ月経過ユーザーを対象に、177の項目にわたって直近1年間のユーザーの不具合経験を聴取しており、それらの項目は外装、走行性能、装備品/コントロール/ディスプレイ、オーディオ/コミュニケーション/エンターテインメント/ナビゲーション(ACEN)、シート、空調、内装、エンジン/トランスミッション(Eng/Trans)の8つの分野に分かれている。すべての不具合項目は車100台当たりの不具合指摘件数(Problems Per 100 vehicles = PP100)として集計され、数値が小さいほど品質が高いことを示す。
本年の業界全体の不具合指摘件数は64PP100で、昨年の72PP100から減少した。この不具合指摘件数の減少は、VDSの8分野全てで確認できる。一方、昨年から不具合指摘件数の減少はあるものの、外装(13.2PP100)と内装(10.9PP100)が不具合指摘の多い上位2分野であることに変化はなかった。また、3番目に多い分野は、Eng/Trans(10.1PP100)で、これら上位3分野の不具合指摘件数の合計は、全体の53%を占めている。
また、不具合指摘の多い上位3項目としては、「吹き出し口から不快なにおいがする」(3.1PP100)、「ブレーキ音がうるさい」(2.0PP100)、「窓がひどくくもる/窓のくもりが素早くとれない」(1.6PP100)が挙げられている。
『自動車メーカー各社は総合品質及び、耐久品質の改善のための継続的な取り組みをおこなっている。このようにユーザーからの不具合指摘が減ることは、更なる改善の取り組みの励みになる。』とJ.D. パワー アジア・パシフィックのオートモーティブ部門シニアディレクターである川橋敦は述べている。
一方、調査の結果、不具合指摘件数が昨年から増加している項目もあることが確認された。昨年から不具合指摘が増加した上位3項目は、「アイドリングストップ(自動エンジン停止/再始動)機能の不具合」、「ファン/送風の音がうるさすぎる」、「車載ブルートゥース(Bluetooth®)での携帯電話/デバイスのペアリング/接続不良」となっている。また、アイドリングストップ機能の装備率は昨年調査から19%、車載ブルートゥースは4%上昇していることが確認された。
『アイドリングストップやブルートゥースの不具合指摘が増加したことは、装備率の上昇が一因となっている可能性がある。』さらに川橋は、『なお、これら装備の装備率は年々増えており、新技術関連の不具合指摘内容を理解し、品質の改善、お客様満足の向上及び、技術に対する信頼感を確立することは、自動車メーカーにとってより重要な課題となっている。実際に、本年の日本自動車初期品質調査(IQS、購入後2~9ヶ月ユーザー)では、アイドリングストップ及び、ブルートゥースの装備率がより増える傾向が確認されている。』と指摘する。
ブランドランキングではレクサスが54PP100で2年連続第1位となった。第2位にはホンダ(56PP100)、第3位にはトヨタ(58PP100)が続いた。業界平均の総合不具合指摘件数は64PP100であった。
セグメント別モデルランキングでは、トヨタが3モデル、スズキとホンダが各1モデルでセグメントトップとなった。軽自動車セグメントでスズキ ラパン(34PP100)、コンパクトセグメントではトヨタ ラクティス(43PP100)、ミッドサイズセグメントでは同率でホンダ フィットシャトルとトヨタ カローラ(51PP100)、ミニバンセグメントではトヨタ シエンタ(55PP100)がそれぞれ第1位となっている。
調査の結果、車両品質の耐久性は再購入意向や推奨意向に影響を及ぼすことが明らかとなった。保有車両に対する不具合指摘が1件もないユーザーの場合、「必ず+たぶん同じブランドの車を購入する」という割合は71%、「必ず+たぶん同じモデルを友人や知人に推奨する」という割合は73%となっている。一方、不具合指摘が3件以上のユーザーの場合、再購入意向は56%、推奨意向は61%に大きく低下する。
主な調査結果
- すべてのセグメントで耐久品質が改善:昨年、不具合指摘件数が最も多かったミニバンセグメントは、不具合指摘件数が-13PP100と大きく減少
- 小さい車両ほど不具合指摘数が少ない:不具合指摘件数はコンパクトセグメント(60PP100)で最も少なく、ラージセグメント1(72PP100)で最も多くなっている。
1 対象モデル数が不十分なため、セグメントランキング公表対象外
2016年の日本自動車耐久品質調査は、新車購入後37~54ヶ月経過したユーザー18,777人から回答を得た。調査対象の車両は全17ブランド、120モデルであり、有効サンプル数が100サンプル以上のブランドおよびモデルをランキング対象としている。調査は2016年7月に実施された。
日本自動車耐久品質調査は、J.D. パワーが日本で実施しているAUTOベンチマーク調査の一つであり、他の2016年自動車関連調査は下記の日程でリリースしている。
- 自動車を新車で購入したユーザーを対象に、新車購入店の顧客満足度を測定した2016年日本自動車セールス満足度(Sales Satisfaction Index、略称SSI)調査を8月に発表した。
- 自動車を新車で購入したユーザーを対象に、購入後2~9ヶ月における車両の初期品質を調査した2016年日本自動車初期品質(Initial Quality Study、略称IQS)調査を8月に発表した。
- 新車購入店でサービスを受けた際の顧客満足度を測定した2016年日本自動車サービス満足度(Customer Service Index、略称CSI)調査を本年9月に発表した。
- 今後1年以内に新車乗用車の購入を検討している消費者を対象に、次回購入検討車やブランドイメージ、新技術に対する興味や関心など、消費者の意識や購買行動に関する情報を広範囲に収集した2016年日本新車購入意向者調査(New-Vehicle Intender Study、略称NVIS)を本年9月に発表した。
- 自動車を新車で購入後2~9ヶ月が経過した個人ユーザーを対象に、自動車の性能やデザインなどの商品魅力度に関する評価を測定した2016年日本自動車商品魅力度(Automotive Performance, Execution and Layout、略称APEAL)調査を本年9月に発表した。
- 自動車メーカー純正ならびに市販ブランドのナビゲーションシステムの満足度を測定した2016年日本ナビゲーションシステム顧客満足度調査を本年10月に発表する予定である。
*J.D. パワーが結果を発表する調査はすべてJ.D. パワーが第三者機関として自主企画により実施したものです。
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