総合満足度への影響度が最も大きいのは「フライトクルー(客室乗務員など)」、次いで「機内設備・機内サービス」と「チェックイン/手荷物対応/搭乗手続き」
スターフライヤーが総合満足度第1位
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2023年航空会社顧客満足度調査SMの結果を発表した。
2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大により大きな打撃を受けてきた航空需要であるが、国内線はコロナ禍前の2019年に迫る水準まで回復しつつある。このような状況を受け、J.D. パワーでは国内線フライト利用者の航空会社に対する満足度の測定を目的とした調査を今回初めて実施した。
総合満足度への影響度が最も大きいのは「フライトクルー(客室乗務員など)」、次いで「機内設備・機内サービス」と「チェックイン/手荷物対応/搭乗手続き」
顧客満足度の測定にあたっては、「フライトクルー(客室乗務員など)」、「機内設備・機内サービス」、「チェックイン/手荷物対応/搭乗手続き」、「予約」、「料金(航空券や各種追加料金)」の5つのファクター(満足度領域)を設定し、各ファクターの総合満足度に対する影響度を基に、総合満足度スコアを算出した。
航空会社に対する総合満足度への影響度は「フライトクルー」が27%、「機内設備・機内サービス」が22%、「チェックイン/手荷物対応/搭乗手続き」が21%、「予約」が15%、「料金」が14%となり、「フライトクルー」の影響度が最も高い結果となった。機内での顧客への気遣いや依頼への対応といった顧客対応が満足度に最も大きな影響を及ぼしていると言える。
「オンラインチェックイン」、初めての利用者に多い不安感
近年、多くの航空会社で、顧客の利便性向上や業務効率化などを目的に、オンラインチェックインサービスの導入や利用促進に向けた取り組みが進められている。
本調査によると、国内線利用者のチェックイン方法は「自動チェックイン機」が42%と最も多く、次いで「オンラインチェックイン」(事前手続きによって当日のチェックインが不要になるサービスも含む)が35%、「チェックインカウンター」が23%となった。
多くの国内線利用者がチェックインカウンターを使わずにセルフチェックインのサービスを利用しているものの、そのうち、オンラインチェックインの利用はどの年代においても約3割~4割にとどまっており、自動チェックイン機の利用が多い結果となった。
オンラインチェックイン利用時に困ったことや不満に感じたことを聴取したところ、最も多くあがったのが「うまくできたか最後まで不安だった」(11%)で、特にその航空会社を初めて利用したという利用者では約3割(27%)がこの不満をあげている。オンラインチェックインの利用拡大に向けては、初めて利用する人にもわかりやすく、また手続き完了がはっきり確認できるような、アプリやメール等での通知方法や画面表示上の工夫が求められる。
顧客満足度低下を引き起こすフライト遅延、求められる的確な説明やアナウンス
本調査ではフライトの遅延有無も聴取しているが、2割の国内線利用者が予定時刻からの遅延(出発・到着いずれかで15分以上)が発生したと回答している。
フライト遅延を経験した顧客の満足度は総じて低く、総合満足度は676ポイントと、調査全体平均(701ポイント)を-25ポイント下回る。中でも「機材トラブル・機材整備のため」という航空会社の整備上の問題に起因した遅延の場合、総合満足度は調査全体平均より-61ポイントと大幅な低下となった。さらに、今後もその航空会社を利用したいとする意向は41%と、調査全体平均(58%)を-17ポイント下回った。確実な定時運行への要求が高いサービスであるが故、フライトの遅延は顧客満足度や顧客ロイヤルティの醸成において大きなリスクになり得ると言える。
一方、フライト遅延を経験した顧客においても、遅延に関して航空会社の地上スタッフから十分な説明が行われていたと回答した顧客の総合満足度は705ポイント、フライトクルー(客室乗務員など)から遅延に関する分かりやすい説明が行われていたと回答した顧客では695ポイントとなり、平均前後の水準にまで高まる傾向も確認されている。遅延発生においても顧客への適切な情報提供によって、満足度の大幅な低下を抑制でき得ると言える。
速度や接続への不具合指摘が多い「機内Wi-Fi」
一部の大手航空会社では、機内無料Wi-Fiサービス(インターネット接続サービス)が利用できるが、本調査では無料Wi-Fiサービスの提供がある航空会社利用者の約3割(28%)がWi-Fiサービスを利用したという結果となった。プライベート目的またはビジネス目的でのフライト利用、いずれのケースにおいても約3割が利用しており、フライト中に機内Wi-Fiサービスを利用する顧客は一定数いることがうかがえる。
しかし、Wi-Fiサービス利用者の4割超(44%)がなんらかの不具合やトラブルを指摘している。「速度が遅かった」、次いで「途中で接続が途切れた/途切れることがあった」という指摘が多くあがっており、機内Wi-Fiサービスについては通信品質面における改善の余地が大きいと言える。フライト中でもスマートフォンなどでWi-Fiが利用できることへの顧客期待は大きいと考えられ、今後の品質改善が期待される。
J.D. パワー 2023年航空会社顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
第1位:スターフライヤー(729ポイント)
「フライトクルー」、「機内設備・機内サービス」、「チェックイン/手荷物対応/搭乗手続き」、「予約」の4ファクターで最高評価。
第2位:スカイマーク(715ポイント)
「料金」ファクターで最高評価。
第3位:ANA(709ポイント)
《 J.D. パワー 2023年航空会社顧客満足度調査SM概要 》
年に1回、直近1年以内に国内線で直行便を利用した人を対象に、航空会社の利用状況や各種経験、満足度を聴取し明らかにする調査。今回、初めての実施となる。
■実施期間:2023年6月中旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:直近1年以内に国内線で直行便を利用した人(18歳~74歳)※ANAのプレミアムクラス、JALのファーストクラス利用は除く
■調査回答者数: 4,470人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に 1,000 ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「フライトクルー(客室乗務員など)」(27%)、「機内設備・機内サービス」(22%)、「チェックイン/手荷物対応/搭乗手続き」(21%)、「予約」(15%)、「料金(航空券や各種追加料金)」(14%)となっている(カッコ内は影響度)。
*J.D. パワーが調査結果を公表する全調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
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J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。