Press Release

依然として購入検討の妨げとなっている充電設備への対策が必要

EV乗車経験に比例して購入検討意向が上昇

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:米国ミシガン州トロイ)は、現地時間6月15日に、J.D. Power 2023 U.S. Electric Vehicle Consideration (EVC) StudySM(2023年米国EV検討意向(EVC)調査SMの結果を発表した。

 

自動車メーカー各社が自社の電動化戦略に何十億ドルもつぎ込み、電気自動車(EV)の新型モデルを発売する中、新車EVを購入検討する消費者は少しずつ増えている。本年調査ではEV購入を「検討する(very likely)」と回答した人は26%(前年比+2%)だった。「たぶん検討する(somewhat likely)」と回答した人を加えたEV検討派は61%(前年比+2%)だった。

また、在庫状況とEVの体験機会が購入検討に影響を及ぼしていることも明らかになった。

前年からの増加がわずか2%にとどまった背景として、ガソリン価格の低下、インフレ、金利の上昇、モデル数の増加、充電設備の充実など、楽観的な市場要素と悲観的な市場要素が併存していることがある。充電設備の充実度は、前年と比べると伸びが鈍化しており、2022年の33%に対して今年は13%となっている。一方、モデル数の増加については、購入者の42%が自身のニーズを満たすことのできるEVモデルを所有している。

EVの購入を断念した人のほぼ半数(49%)が、その主な理由として、「利用できる充電ステーションがない」ことを挙げている。充電設備の充実度は、2021年の本調査開始からずっと購入断念理由のトップで、J.D. パワーの他のEV関連調査でも、公共の充電インフラの満足度スコアは常に低い。

 

通勤時間が長くなるとEV購入検討率が上昇

前年のEV関連調査でも見られたが、燃料費の高騰に直面している通勤者は、ガソリン車を下取りに出してEVを購入している。通勤時間が片道45分以上の人のうち35%がEV購入を「検討する(very likely)」と回答しており、通勤時間が15分以下の人(21%)よりも14%高い。車両所有者が運転する距離が長くなると、EVの購入を検討する可能性も高まる傾向が見られた。

 

EV乗車体験が購入検討に寄与

EVに乗車経験のない人では、EV購入を「検討する(very likely)」と回答した割合が12%と低い。一方、EVの乗車経験のある人ではその割合は25%で倍増する。この割合は、EV乗車経験に比例して上昇し、過去にEVを所有またはリースしたことのある人では「たぶん検討する(somewhat likely)」と回答した人を加えたEV検討派は80%に達した。消費者にEVを体験させることが、購入検討に重要な役割を果たしている。

 

EV購入の可能性が高いのは買い替え検討者

車の買い替えを検討している人では、EV購入を「検討する(very likely)」と回答している割合が、どのパワートレインのタイプでも増えている。現在プラグインハイブリッド車(PHEV)を所有している人がEV購入を「検討する(very likely)」とする回答は、前年から+11%となっており、次いで、バッテリー式電気自動車(BEV)所有者の回答が+6%、ハイブリッド車(HEV)所有者の回答が+2%、内燃機関(ICE)車の所有者の回答が+2%となった。

 

EVの購入意向が最も高い州はカリフォルニア州

全米で、EV購入意向が最も高いのはカリフォルニア州だった。EV購入派は73.1%で(very likelyとsomewhat likelyの合計)、うち「検討する(very likely)」は40.5%だった。第2位はニューヨーク州で、EV購入を「検討する(very likely)」の回答は33.7%であった。

 

EVの購入意向の増加幅が最も大きいのはZ世代

手ごろな値段で発売されるEVモデルが増える中、EVを購入検討する割合は、Z世代(1995~2004年生まれ)において他の世代に比べて増えている(前年比+6%)。EV購入検討する割合が最も高いのはY世代(1977~1994年生まれ)で72%となり、EV購入を「検討する(very likely)」と回答している割合も最も高い。

 

最も検討されているブランドはテスラ、最も検討されているモデルはその他ブランド

最も検討されているEVブランドは前年に続きテスラだった。一方、最も検討されているモデルはテスラではなく、トップ3は歴史あるフルライン自動車メーカーのモデルであった。

テスラについて注目すべき点として、テスラを検討している人は、他のEVブランドを検討している人に比べて、「充電ステーションの充実」を理由として挙げている割合が高いことがある。

 

J.D. パワー ジャパン 代表取締役社長 兼 オートモーティブ部門 部門長 山本浩二のコメント

米国でのEV購入検討者数はここ数年で大きく増加している。これは政府の補助金、安価な電気料金によるTCO(車両の所有している期間の総コスト)の低下、そして自動車メーカーによるEV展開への積極的な姿勢が背景にあると考えられる。

一方で、EV充電器のインフラ整備には大きな課題があり、特に、近年はEVの販売台数の増加に充電インフラの増加が追い付いていない状況となっている。この状況は日本にも当てはまるが、充電インフラの拡充はEVの更なる拡大に向けた大きな課題と言える。

また前年同様に、モデル別の購入意向の上位には日系メーカーのEVがランクインしている。米国の消費者は日系メーカーが開発するEVを待っており、日系メーカーの米国でのEVラインナップの拡充が待たれる。

 

《J.D. パワー 2023年米国EV検討意向調査SM概要》

年に一回、消費者を対象に、EV(電気自動車、バッテリー式電気自動車)の購入検討について聴取した調査。

■実施期間:2023年2月~5月 
■調査方法:インターネット調査 
■調査回答者数:8,136

 

*本報道資料は、現地時間 2023年6月15日にアメリカで発表されたリリースを要約したものです。

原文リリースはこちら
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2023-us-electric-vehicle-consideration-evc-study

 

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

 

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J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。

 

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