CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2024年法人向けテクニカルサポートコールセンター満足度調査SMの結果を発表した。本調査は「サーバー」、「PC/タブレット」、「コピー機/プリンター」、「業務ソフト」の4つのIT製品部門における、企業向けのテクニカルサポートコールセンターの満足度を測定している。
いずれの部門も総合満足度は概ね前年同水準で安定、スコア上昇トレンドは頭打ちの兆し
本年調査における各部門の総合満足度は「サーバー部門」が675ポイント(前年比-2ポイント)、「PC/タブレット部門」が664ポイント(前年比-4ポイント)、「コピー機/プリンター部門」が698ポイント(前年比-2ポイント)、「業務ソフト部門」が673ポイント(前年比-3ポイント)となった。いずれの部門も前年調査(2023年11月発表)とほぼ同水準のスコアを維持している。「サーバー部門」、「PC/タブレット部門」、「業務ソフト部門」においては、2019年から満足度スコアが年々向上し、着実な改善が見られていたが、本年は上昇が止まり、頭打ちの兆しも見られる。
オペレーターにつながるまでの待ち時間、満足度に大きく影響
本調査では総合満足度の測定にあたり7つのファクターを設定しているが、「サーバー部門」、「PC/タブレット部門」、「業務ソフト部門」においては、総合満足度への影響度が最も大きい「電話のつながりやすさ」のスコアが7ファクターの中で最も低い。オペレーターにつながるまでの時間と満足度の関係においては、3部門ともに待ち時間が5分を超えると満足度は大きく低下する傾向にある。そのため、このような待ち時間の短縮は満足度向上の鍵となる。コールセンターの採用難や人件費高騰が続く現況下、つながりやすさ改善に向けた呼量削減策として、オンラインサポートの利用促進や音声ボット等による自動応答システムの導入といった工夫が、各企業に求められる。
利用者の評価が分かれる音声ボット/ボイスボット、若年層から高評価
近年のAI技術の発達に伴い、音声ボット/ボイスボットによる自動受付・自動応答システムを導入する企業が増えている。このシステムにより、夜間や休日でも受付・応答が可能となるため、平日午前の時間帯を中心としたコールセンターの混雑緩和策としても期待されている。
IT・OA機器製品に関する問い合わせにおける音声ボット/ボイスボットの利用経験を聴取したところ、約3割(28%)が「利用したことがある」と回答した。しかし、半数は「便利に感じた」と回答しているものの、残り半数は「不便・不満を感じた」としており、今後の改良が望まれる。一方、若年層(20-39歳)においては、「便利に感じた」という回答が多く(19%)、高年層(60歳以上)と比較して、「利用したことはなく、今後も利用したいと思わない」という回答も少ない。一般的に、若年層は発展途上にある技術への適応が早く、抵抗感も少ない傾向にある。このことから、音声ボット/ボイスボットといった新しいサポートの仕組みは、若年層を中心に受け入れが進んでいくと予想される。企業のテクニカルサポートを担うBtoBコールセンターにおいては、幅広い年代の顧客層の嗜好やニーズに柔軟に対応できる、マルチチャネルでのサポート体制の構築が重要と言える。
J.D. パワー 2024年法人向けテクニカルサポートコールセンター満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
【サーバー部門】(対象7ブランド)
第1位:富士フイルムビジネスイノベーション(723ポイント)
「電話のつながりやすさ」、「応対の丁寧さ※」、「製品知識」、「コールセンターでの問題解決や電話対応に要した時間」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「用件・要望に対する理解力」、「説明のわかりやすさ」の全7ファクターで最高評価。
第2位:DELL(712ポイント)
「応対の丁寧さ※」ファクターで最高評価。
第3位:大塚商会(693ポイント)
※富士フイルムビジネスイノベーションとDELLの「応対の丁寧さ」のスコアは同点。
【PC/タブレット部門】(対象7ブランド)
第1位:大塚商会(710ポイント)
3年連続の総合満足度第1位。「応対の丁寧さ」、「製品知識」、「コールセンターでの問題解決や電話対応に要した時間」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「用件・要望に対する理解力」、「説明のわかりやすさ」の6ファクターで最高評価。
第2位:リコージャパン(707ポイント)
「電話のつながりやすさ」ファクターで最高評価。
第3位:DELL(671ポイント)
【コピー機/プリンター部門】(対象7ブランド)
第1位:富士フイルムビジネスイノベーション(706ポイント)
「電話のつながりやすさ」、「応対の丁寧さ」、「製品知識」、「コールセンターでの問題解決や電話対応に要した時間」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「用件・要望に対する理解力」、「説明のわかりやすさ」の全7ファクターで最高評価。
第2位:大塚商会(701ポイント)
第3位:リコージャパン(700ポイント)
【業務ソフト部門】(対象8ブランド)
第1位:大塚商会(700ポイント)
2年連続の総合満足度第1位。「電話のつながりやすさ」、「コールセンターでの問題解決や電話対応に要した時間」の2ファクターで最高評価。
第2位:PCA(691ポイント)
「応対の丁寧さ」、「製品知識」、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」、「用件・要望に対する理解力」、「説明のわかりやすさ」の5ファクターで最高評価。
第3位:弥生(679ポイント)
《J.D. パワー 2024年法人向けテクニカルサポートコールセンター満足度調査SM概要》
年に1回、全国の企業を対象に、「サーバー」、「PC/タブレット」、「コピー機/プリンター」、「業務ソフト」の4つの製品分野の法人向けコールセンターにおけるテクニカルサポート(製品購入後の故障や障害・トラブル、使い方や設定方法)の応対満足度を聴取し明らかにする調査。今回で9回目の実施となる。
■実施期間:2024年7月下旬~8月中旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:直近1年以内にテクニカルサポートの用件でコールセンターを利用した企業(従業員数5名以上)
■調査回答社数:サーバー:1,614件、PC/タブレット:2,173件、コピー機/プリンター:3,645件、業務ソフト:2,288件
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に「電話のつながりやすさ」(24%)、「応対の丁寧さ」(20%)、「製品知識」(18%)、「コールセンターでの問題解決や電話対応に要した時間」(15%)、「用件に対し提供された情報や回答内容の適切さ」(9%)、「用件・要望に対する理解力」(7%)、「説明のわかりやすさ」(6%)となっている(カッコ内は影響度)。
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
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J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。ビッグデータや人工知能(AI)、アルゴリズムモデリング機能を活用して消費者行動を捉える先駆者であり、消費者に関する鋭い業界インテリジェンスを提供してきました。J.D. パワーは半世紀以上に渡って、顧客とブランド・製品に関わり続け、主要産業における世界の大手企業から、顧客対応戦略の指針として信頼されています。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。