Press Release

航空会社の需給ギャップは、収益には有利に働く一方、顧客体験には厳しい状況

ジェットブルー航空、デルタ航空、サウスウエスト航空がそれぞれの部門で第1位

CS(顧客足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州トロイ)は、現地時間5月10日に、J.D. Power 2023 North America Airline Satisfaction StudySM(J.D. パワー 2023年北米航空会社顧客満足度調査SMの結果を発表した。

本調査は、直近1ヶ月以内に北米の主要航空会社を利用した乗客を対象にファースト/ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス、エコノミー/ベーシックエコノミークラスの3つの部門において航空会社に対する満足度を測定している。

 

需要の急増、供給量の制限、航空運賃の高騰が重なり、航空各社は過去2四半期を通じて記録的な収益をあげたが、この収益向上の黄金時代は顧客満足度を犠牲にすることで成立している。

本調査によると、大手航空会社に対する顧客満足度は2年連続で大幅に低下しており、値上げ、人員不足、路線縮小といった現在の状況が続けば、ブランド価値の低下につながる危険性があることを示唆している。

 

2023年調査の主なポイントは以下の通り:

 

航空券の料金が主因で総合満足度は低下

総合満足度は791ポイント(1,000ポイント満点)で、前年比7ポイントの低下となった。昨年調査の前年比―22ポイントに続き、2年連続で顧客満足度は低下した。今回調査の顧客満足度低下の最も大きな要因となったのは「料金」ファクターの低下であり、前年から17ポイント低下した。

 

ファースト/ビジネスクラス利用者には異なる傾向

業界全体の総合満足度は低下したが、ファースト/ビジネスクラス部門の乗客は明らかに良い顧客体験をしている。このセグメントの顧客満足度は、前年比で9ポイント上昇した。これは、コロナ後にファースト/ビジネスクラスでの多くのサービス再開に伴い、食事や飲料のスコアが上昇したことが一因となっている。

 

格安航空会社はピンチ

価格に敏感な乗客が、今年は安価な航空券を見つけることができなかったエコノミー/ベーシックエコノミークラス部門において、顧客満足度の低下が最も顕著であった。エコノミー/ベーシックエコノミークラス部門の「料金」ファクターに対する満足度は、前年から19ポイント低下した。

 

誰もが納得する1つの結果

今回調査において、全部門に共通して改善が見られた数少ないファクターの一つが「機内サービス」の中の「食事・飲料」で、前年から12ポイント上昇した。

 

J.D. パワー トラベル・インテリジェンス部門 部門長 マイケル・テイラーのコメント

「もし、航空会社が長期的に成功するための必要な指標がイールドマネジメント(収益最大化)だけなのであれば、今年は経済効率性が最高の状態で運営しているため、航空業界にとって素晴らしい年になるはずである。しかし、顧客の視点に立てば、それは機内が混雑し、航空券は高く、フライトの空席が限られていることを意味する。これらの障害は、まだレジャー目的の旅行の需要に打撃を与えていないが、もしこの傾向が続けば、顧客は限界に達し、一部の航空会社のブランドにダメージを与える可能性がある。」

 

 

顧客満足度ランキング

<ファースト/ビジネスクラス部門>

第1位:JetBlue Airways(ジェットブルー航空)(893ポイント、2年連続の総合満足度第1位)

第2位:Delta Air Lines (デルタ航空)(865ポイント)

第3位:United Airlines(ユナイテッド航空)(848ポイント)

 

<プレミアムエコノミークラス部門>

第1位:Delta Air Lines (デルタ航空)(848ポイント)

第2位:JetBlue Airways(ジェットブルー航空)(840ポイント)

第3位:Alaska Airlines (アラスカ航空)(823ポイント)

 

<エコノミー/ベーシックエコノミークラス部門>

第1位:Southwest Airlines(サウスウエスト航空)(827ポイント、2年連続の総合満足度第1位)

第2位:Delta Air Lines (デルタ航空)(801ポイント)

第3位:JetBlue Airways(ジェットブルー航空)(800ポイント)

《J.D. パワー 2023年北米航空会社顧客満足度調査SM概要》

直近1ヶ月以内に北米の主要航空会社を利用した乗客を対象に、ファースト/ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス、エコノミー/ベーシックエコノミークラスの3つの部門において航空会社に対する満足度を明らかにする調査。今年で19回目の実施となる。

■実施期間:2022年3月~2023年3月 
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:アンケート回答時の直近1ヶ月以内に北米の主要航空会社を利用した顧客
■調査回答者数:7,774人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に以下の通り(カッコ内は影響度)。

ファースト/ビジネスクラス部門:「機内サービス」(22%)、「料金」(20%)、「客室」(17%)、「フライトクルー」(15%)、「搭乗」(8%)、「チェックイン」(8%)、「予約」(7%)、「手荷物」(4%)

プレミアムエコノミークラス部門:「料金」(22%)、「機内サービス」(19%)、「フライトクルー」(14%)、「搭乗」(12%)、「客室」(11%)、「チェックイン」(10%)、「予約」(7%)、「手荷物」(6%)

エコノミー/ベーシックエコノミークラス部門:「料金」(23%)、「客室」(17%)、「機内サービス」(13%)、「フライトクルー」(12%)、「チェックイン」(11%)、「搭乗」(10%)、「予約」(8%)、「手荷物」(6%)

 

*本報道資料は、現地時間 2023年5月10日に米国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら

https://www.jdpower.com/business/press-releases/2023-north-america-airline-satisfaction-study

 

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。

J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。

 

2023_NA_Airline_Rankingchart1
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