CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、2025年生命保険契約満足度調査の結果を発表した。
3部門ともに総合満足度が過去最高
本調査は、直近1年以内に生命保険の新規契約・更新手続を行った顧客を対象に、契約時の顧客接点チャネルを「保険会社営業職員部門」、「保険代理店部門」、「ダイレクト部門」の3部門1 に分けて実施している。本年の総合満足度の部門平均は、「保険会社営業職員部門」が前年比+4ptの691ポイント(1,000ポイント満点)、「保険代理店部門」が+4ptの693ポイント、「ダイレクト部門」が+7ptの670ポイントと、全ての部門で総合満足度が向上し、過去最高のスコアを更新した。
ファクター別に見ると、全ての部門で「顧客対応」の向上が見られ、保険会社営業職員部門と保険代理店部門では前年比+6pt、ダイレクト部門では+11ptであった。それ以外のファクターでは、保険会社営業職員部門で「支払保険料」が、ダイレクト部門では「商品提供」、「手続・書類」、「支払保険料」の全てのファクターで5pt以上の向上が見られた。
対面系チャネルの主力商品で若年層のスコアが向上。契約手続きのプロセス向上が背景に
対面系チャネル2部門(保険会社営業職員部門、保険代理店部門)の満足度を商品別に見ると、保険会社営業職員部門では「生活保障」商品、保険代理店部門では「医療給付」商品の満足度が向上し、いずれも30代以下の年齢層で顕著な伸びが確認された。ファクター別に見ると「手続・書類」での向上が最も大きく30pt前後のスコア向上が見られた。詳細項目を見ると「保険の申込みに必要な資料のわかりやすさ」、「保険証券や契約のしおり(約款)のわかりやすさ」、「契約書類の量の適切さ」、「保険証券作成までの時間」、「保険証券や契約のしおり(約款)の送付の迅速さ」といった申込みから契約にいたるプロセスの評価において、いずれも0.3pt程度(10ポイント満点)のスコアの伸びが確認された。加えて契約申込みしてから保険証券到着までの短期化も確認されることから、申込みから契約にスムーズに移行できるスキームの構築が進んでいることが背景にあると推察される。これらの層の申込みフォームはパソコンやタブレットを用いたオンライン経由が8割程度であり、若年層ほどオンライン申込みにおける評価が高い傾向が確認される。生活保障系の生命保険商品を強みとする保険会社営業職員部門と、医療給付系を強みとする保険代理店部門において、主力商品販売における評価の高い申込みスキームの構築ができている結果と考えられる。
生命保険での資産形成ニーズは拡大の余地あり
2024年1月のNISA制度改正により、個人の資産運用に対する関心が高まる中、生命保険業界においても「家計の安定的な資産形成」を推進すべく、顧客へのライフプランニングやコンサルティングが注力されている。
本調査でも、投資商品2 や保険商品3といった金融商品のうち、どういった商品で資産形成をしたいか聴取したところ、投資商品での意向はいずれの部門でも5割を超え、保険商品においても対面系で約4割、ダイレクト部門で約2割となった。商品別に見るといずれの部門でもニーズの高さは「個人年金保険」、「養老保険」、「変額保険」の順となっており、一部の生命保険会社で注力している変額保険についてのニーズはいずれの部門でも1割に満たなかった。一方、変額保険を金融商品として選ばない理由を確認すると、「元本(掛け金)を下回るリスクがある」といった将来の変動不安を懸念するものがいずれの部門においても約3割と最も多いものの、次に多い理由として「変額保険がどのようなものかよくわからない」や「変額保険そのものを知らない」といった顧客の不知不詳による理由が各々2割程度確認される。
生命保険商品による資産形成は、金融商品と比較してコストが高い傾向にある、変額型の商品は市況環境の悪化によるリスクを伴う、といったネガティブな点がフォーカスされることもあるが、万一に備えながら資産形成ができるといった利点もある。顧客の認知や理解促進によっては、生命保険商品による資産形成を拡大する余地があると言える。
J.D. パワー 2025年生命保険契約満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
<保険会社営業職員部門>(対象13社)
第1位:メットライフ生命(743ポイント)
「手続・書類」、「支払保険料」、「商品提供」の3ファクターで最高評価。
第2位:ソニー生命(740ポイント)
第3位:プルデンシャル生命(733ポイント)
<保険代理店部門>(対象17社)
第1位:チューリッヒ生命(710ポイント)
「商品提供」ファクターで最高評価。
第2位:はなさく生命、SOMPOひまわり生命(同スコア、706ポイント)
<ダイレクト部門>(対象8社)
第1位:ライフネット生命(716ポイント)
5年連続の総合満足度第1位。「手続・書類」、「商品提供」、「支払保険料」の3ファクターで最高評価。
第2位:アフラック生命(692ポイント)
第3位:SBI生命(679ポイント)
J.D. パワー 2025年生命保険契約満足度調査SM概要
年に1回、直近1年以内に生命保険の新規契約・更新手続を行った顧客を対象に、契約プロセスにおける保険会社に対する満足度を聴取し明らかにする調査。今回で15回目の実施となる。
■実施期間:2024年11月中旬~12月上旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:直近1年以内に生命保険の新規契約・更新手続を行った人(20歳以上)
■調査回答者数:8,413人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に以下の通り(カッコ内は影響度)。
<保険会社営業職員部門><保険代理店部門>:「顧客対応」(33%)、「手続・書類」(26%)、「支払保険料」(21%)、「商品提供」(20%)
<ダイレクト部門>:「手続・書類」(29%)、「顧客対応」(25%)、「商品提供」(23%)、「支払保険料」(23%)
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
詳細はhttps://japan.jdpower.com/ja/our-benchmarking-study-methodologyをご覧ください。
【ご注意】チャートやデータを記事に引用する場合には、出典元として本調査名を明記してください。
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J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。ビッグデータや人工知能(AI)、アルゴリズムモデリング機能を活用して消費者行動を捉える先駆者であり、消費者に関する鋭い業界インテリジェンスを提供してきました。J.D. パワーは半世紀以上に渡って、顧客とブランド・製品に関わり続け、主要産業における世界の大手企業から、顧客対応戦略の指針として信頼されています。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。
1 ダイレクト部門は2021年より、保険会社営業職員部門と保険代理店部門は2023年より部門を分けてランキングを発表している。
2 本調査では円預金、外貨預金、株式、債券、投資信託と定義。
3 本調査では個人年金保険、養老保険、変額保険と定義。