CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2023年携帯電話サービス顧客満足度調査SMの結果を発表した。
本調査は、<大手キャリア *1>、<バリューキャリア *2>、<MVNO *3>、<オンライン専用ブランド/プラン *4>の4部門に分けて携帯電話サービスの顧客満足度を測定している。
「通信品質」、バリューキャリアでは満足度向上が見られるものの、MVNOやオンライン専用では低下
本年の総合満足度は、大手キャリア部門では597ポイント(前年比+2ポイント)となり、前年調査(2022年9月発表)からの大きな変化は見られなかった。
バリューキャリア部門は639ポイント(前年比+5ポイント)となり、やや向上した。ファクター別では総合満足度への影響度が最も大きい「通信品質」のスコアで前年から+14ポイントの向上が見られており、特に一部のブランドでの向上が顕著であった。
MVNO部門は650ポイント(前年比-4ポイント)となった。「通信品質」ファクターで前年から-11ポイントの低下が見られており、一部の携帯電話事業者の回線網を使用したMVNOユーザーでのスコア低下が顕著となっている。
オンライン専用ブランド/プラン部門は655ポイント(前年比-11ポイント)となった。MVNO部門同様に、「通信品質」ファクターが特に低下しており(前年比-18ポイント)、一部のブランドでスコアが大きく低下した。オンライン専用ブランド/プランは、大手キャリアやバリューキャリアと比べて毎月のデータ使用量が多く、スマートフォンでの動画視聴などを行うユーザーが多い特徴がある。このため、同じ携帯電話事業者の回線網を使用していても、他部門のユーザーと比べて、つながらない、つながりにくい、といった事象を敏感に感じたユーザーが多いものと推察される。
業界全体でオンラインサポートの満足度が向上、ビデオ通話サポートが高評価
本年の業界全体での総合満足度は前年比+4ポイントにとどまるものの、ファクター別にみると「手続き・サポート対応」ファクターの満足度は前年から+15ポイントと、全5ファクターのうち最も向上した。中でも「オンライン」での手続き・サポートの満足度が最も向上している(前年比+17ポイント)。
近年、携帯電話業界においても店舗やコールセンターの業務効率化等を目的に、オンラインサポートの利用促進が図られているが、業界全体でオンラインサポートの満足度は向上傾向にあると言える。調査対象となった全14ブランド中、9ブランドで前年からスコアが10ポイント以上向上しており、多くのブランドで「必要な情報が得られるまでにかかった時間」、「掲載内容・提供情報のわかりやすさ」といった項目で評価の向上が見られた。
オンラインサポートで利用したページ・機能別に満足度をみると、「ビデオ通話によるサポート」を利用したユーザーの満足度が737ポイントと最も高い結果となった。一部のブランドではビデオ通話を使用したオンライン接客やオンライン手続きの支援サービスが開始されているが、このような取り組みは顧客満足度の向上・改善においても効果的と言える。
また、前年と比較すると、「オペレーターとのチャットによるサポート機能」(有人チャット)や「AIチャットボット機能」(AIチャット)を利用したユーザーの満足度がそれぞれ+30ポイント前後と大きく向上した。有人チャットにおいては「オペレーターとすぐにチャットを開始できた」、「オペレーターからの返信はスムーズだった」という回答も増加しており、有人・AIともにチャットサポートの提供品質向上がうかがえる結果となった。しかし、有人チャットでは41%、AIチャットでは半数以上の52%のユーザーが目的の用件が「解決しなかった」と回答しており、解決率はまだ高いとは言えない状況にある。オンラインサポートの利用拡大に向けて今後の更なる改善が期待される。
「MNPワンストップ」認知度は低迷
本年5月から、携帯電話会社を変更する際の予約番号発行が不要となり、乗り換え先の携帯会社で申し込むだけでMNP手続きを進めることができる「MNPワンストップ」が開始された。携帯電話会社変更の利便性や流動性を高める目的で導入されたサービスであるが、認知度は非常に低い結果となった。
「MNPワンストップ」について、「内容まで詳しく知っている」と回答したユーザーは6%、「なんとなく知っている」と回答したユーザーは15%にとどまり、「知らない」と回答したユーザーが80%となった。年代別に見ても大きな違いはなく、10代-20代では77%が、60代以上では84%が「MNPワンストップ」を「知らない」と回答している。市場の競争活性化や顧客流動性を高めていくために始まったサービスではあるが、ユーザーへの周知・理解促進がまず必要となっている。
J.D. パワー 2023年携帯電話サービス顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
<大手キャリア部門>(対象3ブランド)
第1位:docomo(603ポイント)
3年連続の総合満足度第1位。「通信品質」、「サービスメニュー」、「手続き・サポート対応」の3ファクターで最高評価。
第2位:au 、SoftBank(同点、591ポイント)
SoftBankは「各種費用」、「提供端末」の2ファクターで最高評価。
<バリューキャリア部門>(対象3ブランド)
第1位:Y!mobile(647ポイント)
2年連続の総合満足度第1位。「通信品質」、「サービスメニュー」、「提供端末」、「手続き・サポート対応」の4ファクターで最高評価。
第2位:UQ mobile(641ポイント)
第3位:楽天モバイル(626ポイント)
「各種費用」ファクターで最高評価。
<MVNO部門>(対象5ブランド)
第1位:IIJmio(666ポイント)
3年連続の総合満足度第1位。「通信品質」、「各種費用」、「提供端末」の3ファクターで最高評価。
第2位:mineo (659ポイント)
「サービスメニュー」、「手続き・サポート対応」の2ファクターで最高評価。
第3位:イオンモバイル(652ポイント)
<オンライン専用ブランド/プラン部門>(対象3ブランド)
第1位:LINEMO(680ポイント)
3年連続の総合満足度第1位。「通信品質」、「サービスメニュー」、「手続き・サポート対応」の3ファクターで最高評価。
第2位:povo(672ポイント)
「各種費用」ファクターで最高評価。
第3位:ahamo(645ポイント)
*1 大手移動体通信事業者(MNO)のメインブランドの携帯電話サービス(au、docomo、SoftBank)
*2 大手移動体通信事業者のサブブランドまたは準大手移動体通信事業者の携帯電話サービス(楽天モバイル、UQ mobile 、Y!mobile)
*3 仮想移動体通信事業者(MVNO)による携帯電話サービス(本調査対象はイオンモバイル、BIGLOBEモバイル、IIJmio、J:COMモバイル、mineo)
*4 大手移動体通信事業者が提供しているオンラインのみでの手続き・サポートを基本とする携帯電話サービス(ahamo、LINEMO 、povo)
※( )内サービス名はアルファベット順
《J.D. パワー 2023年携帯電話サービス顧客満足度調査SM概要》
年に1回、スマートフォンを利用している人を対象に、携帯電話サービスの利用状況や各種経験、満足度を聴取し明らかにする調査。今回で25回目の実施となる。
■実施期間:2023年7月下旬~8月上旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:スマートフォンを利用している人(18歳~74歳)
■調査回答者数: 大手キャリア部門:9,500人/バリューキャリア部門:4,200人/MVNO部門:2,600人/オンライン専用ブランド/プラン部門:2,400人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「通信品質」(29%)、「各種費用」(27%)、「サービスメニュー」(20%)、「提供端末」(13%)、「手続き・サポート対応」(11%)となっている(カッコ内は影響度)。
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
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J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。