日本の金融資産は諸外国と比べて著しく預貯金に偏っており、投資信託・株式等のリスク性資産への移行は重要な国策となっている。
J.D. パワー ジャパンはこのような状況を踏まえ、資産運用に興味関心を持ちつつも未経験者である「投資意向者」に焦点を当てた調査を実施した。投資意向者の実態やニーズを捉え、個人の資産運用促進に向けて金融機関がどのような役割をするべきかを明らかにする結果の一部を紹介する。
◆資産運用意向は若年層ほど高く、20代では4人に1人◆
出典:J.D. パワー 2018年個人資産運用意向者調査 |
本調査では、20歳から69歳までの消費者を対象に聴取を行った。全体の13%が、これまでリスク性商品を保有した経験はないものの資産運用に興味関心を持っていることがわかった。年代別に見ると若い世代ほど資産運用への意向が高く、20代では4人に1人が投資意向者であった。
一方、関心を持ったきっかけは「周囲の成功体験」、運用目的は「生活のゆとり」や「老後の蓄え」の割合が最も高く、きっかけや運用目的は漠然としていることもわかった。
また運用イメージでは、年間投資希望額平均が約36万円に対し、運用開始1年で2倍に増やしたいとの回答が得られ、投資意向者といえども、総じて商品知識や現実的な運用イメージが持てておらず、資産運用のリテラシーが低いことも明らかになった。
◆資産運用で利用したい金融機関、トップはゆうちょ銀行、地銀は不人気◆
資産運用で利用したい金融機関業態は、ゆうちょ銀行が一位(28%)で、全11地域でトップとなっている。次いで26%のネット銀行は「利用したい銀行」、「利用したくない銀行」の両面で上位に挙がっており、「手数料の安さ」がメリットに映っている一方、「企業活動をよく知らない」がデメリットとなった。
また、地方銀行は「利用したい銀行」で下位、「利用したくない銀行」で上位に挙がっており、投資意向者にとって魅力度が低いことがわかる。
また証券会社・信託銀行に対する意向は低く、資産運用の高い専門性が理解されていないことがうかがえる。
出典:J.D. パワー 2018年個人資産運用意向者調査 |
実際に、投資意向者は金融機関に対しどのようなアプローチや情報を求めているのだろうか。
金融機関と投資意向者の接点を見ると、「すでに金融機関から何らかのアプローチがあった」と答えたのは13%、「投資用口座を保有している」は32%に留まっている。
これに対し3割以上の投資意向者がメール・店頭・電話での金融機関からのアプローチを望んでおり、7割以上の投資意向者が商品・キャンペーン・セミナーといった情報を望んでいることがわかった。
また商品やリスクについての知識の乏しさが資料請求・口座開設の足かせになっており、タイミングがわからずに運用開始に踏み切れないことがわかった。
個人の資産運用促進に向けて、金融機関においては投資意向者のレベルに合わせたアプローチや、不安の解消につながる情報提供といった取り組みが一層求められる。
《2018年 J.D. パワー 個人資産運用意向者調査概要》
銀行、証券会社における個人資産運用サービスの未経験者で、今後の利用意向がある満20歳以上69歳以下の一般男女個人を対象に、資産運用の目的や考え方及びその活動実態、金融機関へのニーズや利用意向を明らかにした調査。
■実施期間:2018年4月
■調査方法:インターネット調査
■回答者数:スクリーニング調査 約60,000人 / 本調査7,495人
*J.D. パワーが調査結果を公表する全調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したもの
です。
本調査は、性別や年代をはじめ、全国11地域別、金融機関の業態別、金融機関名別のデータが含まれ、個人資産運用のポテンシャルマーケットの全体像を捉えるレポートとなっています。
レポート構成 Topic1「投資意向者」とはどのような層か Topic2「投資意向者」の金融機関に対する期待・ニーズ Topic3「投資意向者」に向けたアプローチ Topic4 運用層の金融機関に対する満足度
また資産運用サービス利用者を対象にした「2018年 個人資産運用顧客満足度調査」は7月11日の発表を予定しています。詳しくはお問い合わせください。
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