CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2021年個人資産運用顧客満足度調査SMの結果を発表した。
オンライン面談の実施率はまだ低いが、総合満足度は高い
新型コロナウイルス感染拡大を機に、従来は対面を重視してきた銀行・証券会社各社でも、他の業態と同様にオンライン面談を取り入れ始めている。専任の営業・窓口担当者がいる人のうち、新型コロナウイルスの感染拡大以降、専任の営業担当者とオンライン会議システムやビデオ通話を用いた面談をしたという人は14%とまだ少数ではあるが、未経験者に比べ総合満足度は100ポイント近く高くなっている。特に40代以下のオンライン面談経験者の総合満足度が高い。
一方で課題も明らかとなった。オンライン面談経験者のうち、何らかの問題を経験した人は約70%に達している。具体的なトラブルの内容は、「音声が聞き取りにくい」(25%)、「対面の面談に比べ、会話のテンポがつかみにくい」(24%)、「途中、接続が切れる」(22%)、「ビデオと音声のタイミングがずれる」(22%)などである。これらを解決し、よりスムーズなオンライン面談を提供することが顧客満足度の更なる向上の観点から重要と考えられる。
新型コロナウイルスの感染者が「少ない状況」でも約3割がオンライン面談を希望
今後のオンライン面談の希望については、新型コロナウイルスの感染者が「多い状況」では、専任の営業・窓口担当者がいる人の44%が利用意向あり(「利用したい」と「やや利用したい」の合計)と回答している。感染者が「少ない状況」でも、31%が利用意向ありと回答しており、コロナ収束後もオンライン面談への意向は継続するものと考えられる。特に40代以下では感染者が「少ない状況」でも約半数(49%)が利用意向を示している。こうしたことから、顧客との接点として従来の訪問や電話に加えて、オンライン面談が40代以下を中心に主要なチャネルの一つとなりつつあることが確認されている。
投資の参考にしている情報源は年代によって大きく異なる
年代別に最も多く利用している投資の情報源を見てみると、30代以下では「SNS(Twitter、Facebook、Instagram等)」、40~50代では「インターネットの金融系サイト(Yahoo! ファイナンス等)」、60代以上では「テレビニュース・報道」と年代によって異なる結果となった。30代以下ではソーシャルメディアを含むインターネットメディアが上位を独占しているのに対して、40~50代、60代以上ではテレビ、新聞など従来のマスメディアとインターネットメディアの両方が利用されている。
一方、「主利用金融機関の担当者や窓口でのアドバイス」「主利用金融機関のパンフレット」といった金融機関の窓口での情報はどの年代においても上位の情報源としては利用されていない。金融機関からの情報発信においては、各年代に向けた適切なメディア選択も重要である。
「スマホ専業証券」部門を新設
本調査では今年から「スマホ専業証券」部門を新設した。米国ではロビンフッドに代表されるスマホでの株式取引が若者を中心に人気を集め、市場に大きな影響を与える存在になってきている。日本においても、スマホ専業証券の利用者は徐々に広がり、今後も成長が見込まれることから、本調査におけるネット系金融機関の3つ目の部門として新設した。
オンラインセキュリティに関する意識を聴取
本調査では新たにオンラインセキュリティに関する意識についても聴取した。金融機関におけるシステム障害や不適切な情報管理問題等が注目され、セキュリティに対する利用者の意識が高まる中、オンライン取引において各金融機関が提供するセキュリティ対策、ツール、情報提供に対する評価、各セキュリティ対策に対する利用者の負担感や今後の利用意向について取りまとめている。
J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門 常務執行役員 梅澤希一のコメント
「コロナ禍で各社がオンライン面談を導入して以降、初の実施となった今回の調査は、ニューノーマルの中での顧客接点や情報提供がいかにあるべきかを考える上で示唆に富む内容となっている。オンライン面談は利便性の高さなどから顧客満足度が高いことが確認されたが、一方で課題も明らかとなった。オンライン面談経験者のうち、何らかの問題を経験した人は約70%に達している。問題を解決し、よりスムーズなオンライン面談を提供することが顧客満足度の更なる向上の観点から重要と考えられる。また、顧客のデジタルリテラシーが高まる中で、情報提供についてはSNSなどのインターネットメディアの活用の重要性は一層高まっていくものと思われる。特に、従来のビジネスモデルでは取りこぼしがちだった若年層の取り込みの観点からはこうした取り組みの強化が求められていると言える。」
J.D. パワー 2021年個人資産運用顧客満足度No.1を発表
各部門の総合満足度ランキングは下記の通り。
【対面証券 部門】(対象5社)
第1位:野村證券(591ポイント)
「顧客対応」「口座情報」「店舗施設」の3ファクターで最高評価。
第2位:大和証券(588ポイント)
「商品・サービス」ファクターで最高評価。
第3位:三菱UFJモルガン・スタンレー証券(585ポイント)
【全国系銀行 部門】(対象5行)
第1位:りそな銀行(583ポイント)
「顧客対応」「口座情報」「手数料・金利」「店舗施設」の4ファクターで最高評価。
第2位:三井住友銀行(581ポイント)
「商品・サービス」ファクターで最高評価。
第3位:三菱UFJ銀行(571ポイント)
【ネット証券 部門】(対象5社)
第1位:松井証券、楽天証券(同点、614ポイント)
松井証券は2年連続の1位。「手数料・金利」ファクターで最高評価。
第3位:SBI証券(611ポイント)
【スマホ専業証券 部門】(対象4社)
第1位:SBIネオモバイル証券(628ポイント)
「手数料・金利」「顧客対応」「口座情報」の3ファクターで最高評価。
第2位:CONNECT(617ポイント)
「商品・サービス」ファクターで最高評価。
第3位:LINE証券(589ポイント)
【ネット銀行 部門】(対象5行)
第1位:ソニー銀行(617ポイント)
2年連続の1位。「顧客対応」「口座情報」の2ファクターで最高評価。
第2位:住信SBIネット銀行(615ポイント)
「手数料・金利」「商品・サービス」の2ファクターで最高評価。
第3位:PayPay銀行(旧:ジャパンネット銀行)(609ポイント)
《 J.D. パワー 2021年個人資産運用顧客満足度調査SM概要 》
年に1回、民間の銀行、証券会社で、投資信託・株式・外貨預金・FXなどの資産運用を行っている個人投資家(全国の20歳~79歳)を対象に、直近1年間のサービス利用経験に対する満足度を明らかにする調査。今年で10回目の実施となる。
サービス形態をもとに「対面証券」「全国系銀行」「ネット証券」「スマホ専業証券」「ネット銀行」の5部門に分けて集計した。本年調査では以下の部門変更を行っている。
・「スマホ専業証券」部門を新設した。
・前年まで実施していた「信託銀行」部門は実施していない。
■実施期間:2021年4月中旬~下旬 ■調査方法:インターネット調査
■調査対象:銀行、証券会社で個人資産運用サービス(投資サービス)を利用した人(20歳~79歳)
■調査回答者数:11,508人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に以下の通り。
【対面系】(対面証券、全国系銀行):「顧客対応(担当者・オンライン・コールセンター)」(32%)、「商品・サービス」(30%)、「口座情報」(19%)、「手数料・金利」(14%)、「店舗施設」(4%)、「問題解決」(1%)
【ネット系】(ネット証券、スマホ専業証券、ネット銀行):「手数料・金利」(30%)、「顧客対応(オンライン・コールセンター)」(25%)、「口座情報」(24%)、「商品・サービス」(20%)、「問題解決」(1%)
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
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J.D. パワーについて:J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。