Press Release

保険料引き上げによる保険料満足度の低下と保険料重視の新規契約の急増

高齢の顧客は保険料に敏感

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. Power(本社:米国ミシガン州 トロイ)は、現地時間5月23日に、J.D. Power 2022 U.S. Insurance Shopping StudySM(J.D. パワー 2022年米国自動車保険契約顧客満足度調査SMの結果を発表した。

本調査は、年に1回、過去9ヶ月間に1社以上の競合保険会社に自動車保険料の見積りを依頼した米国の保険会社 の顧客を対象に契約プロセスにおける保険会社に対する満足度を測定している。

 

ステート・ファームが大規模保険会社部門、ハートフォードが中規模保険会社部門において首位

自動車保険会社は苦境に陥っている。2021年には需要急増により中古車価格が平均41%も上昇し、車両交換や修理コストを未知の領域に押し上げた。こうしたコスト上昇に対応するために保険会社が行った保険料引き上げに幻滅し苛立った顧客は、自らのリスクに合った、より良い保険契約を求めるようになった。本調査によると、保険料に対する満足度は急落しており、これが契約経験の満足度を引き下げ、新たな契約を求める動きを活発化させた。

 

2022年調査の主なポイントは以下の通り:

 

自動車保険の顧客満足度は低下

自動車保険加入者の総合満足度スコアの平均は862ポイント(1,000ポイント満点)で、前年調査(2021年)と比較し-6ポイント低下した。全体として、大規模保険会社では9社中6社、中規模保険会社では11社中6社の今年の契約経験の満足度スコアが低下した。

 

保険料引き上げが新規保険契約率に拍車

2022年初めの新規保険契約率は2021年と比較して低かったが、2022年3月~4月に見られた保険料引き上げが新規契約率を過去の標準レベルに押し戻している*1。契約を同一会社の別の保険商品への切り替えをする顧客と保険会社自体の切り替えをする顧客が新規契約をする際の最大の要因は、積極的な保険料のチェック(51%)と保険料の引き上げ(35%)である。保険料の引き上げを理由に新しい保険を購入する顧客の約6割(64%)が、11%以上の保険料の引き上げを経験していた。

*1出典:J.D. Power Auto Insurance Loyalty Indicator and Shopping Trends (LIST)

 

ダイレクト保険会社の顧客満足度は崖っぷちに

保険会社のダイレクト・チャネルは、数年連続で着実に顧客満足度を高めてきたが、今年は-17ポイント低下した。総合満足度は860ポイントで、5年ぶりに専属代理店チャネル(866ポイント)を下回った。独立代理店チャネルは、前年の848ポイントから854ポイントに上昇したもの、依然として総合満足度ではダイレクト・チャネルや専属代理店チャネルを下回っている。

 

高齢の顧客は保険料に敏感

 顧客の年齢とともに、保険料要因で保険を購入する傾向が強くなった。例えば、プレブーマー世代*2では、新規保険契約の67%が保険料によって決まっている。一方Z世代では、保険料を重視する割合は41%に止まった。

*2J.D. パワーでは、1946年より前に生まれた人をプレブーマー世代、1946-1964年に生まれた人をブーマー世代、1965-1976年に生まれた人をX世代、1977-1994年に生まれた人をY世代、1995-2004年に生まれた人をZ世代と定義している。Y世代の中で、特に1982-1994年に生まれた人をミレニアル世代と定義している

 

J.D. パワー プロパティ・アンド・カジュアルティ・インシュアランス部門 エグゼクティブ・マネージング・ディレクター マーチン・エリングスワースのコメント

「過去最高の車両交換コスト、衝突事故の頻度と深刻さの増加、そしてこの状況がすぐには変わらないことを示唆する経済見通しが重なり、業界の大混乱を引き起こしている。短期的には、この混乱は保険料に対する極めて低い顧客満足度や新規契約率の高さとなって現れている。長期的には、利用ベース保険*3の大幅な導入のきっかけとなる可能性が考えられる。これは、顧客への関与を維持し、顧客の特定のニーズを満たすことによってロイヤルティを築きつつ、保険会社が財務的状況をしっかりと操作することができる唯一の方法かもしれない。」

*3「利用ベース保険(UBI: Usage Based Insurance)」とは自動車に搭載された通信機器を利用して収集したデータに基づき、使用状況や運転行動に基づいて保険料を計算する自動車保険

 

顧客満足度ランキング

【大規模保険会社部門】

第1位:State Farm(ステート・ファーム)(885ポイント、2年連続の1位)

 

【中規模保険会社部門】

第1位:The Hartford(ハートフォード)(889ポイント)

第2位:Erie Insurance(エリー)(878ポイント)

第3位:Amica Mutual(アミカ)(874ポイント) 

 

《J.D. パワー 2022年米国自動車保険契約顧客満足度調査SM概要》

年に1回、過去9ヶ月間に1社以上の競合保険会社に自動車保険料の見積りを依頼した保険会社の顧客を対象に契約プロセスにおける保険会社に対する満足度を明らかにする調査。今回で16回目の実施となる。

■実施期間:2021年3月~2022年1月 
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:過去9ヶ月間に1社以上の競合保険会社に自動車保険料の見積りを依頼した保険会社の顧客
■調査回答者数:10,804人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「保険料」、「販売チャネル」、「契約内容」、「見積り」となっている。 

 

*本報道資料は、現地時間 2022年5月23日に米国で発表されたリリースを要約したものです。

原文リリースはこちら 

https://www.jdpower.com/business/press-releases/2022-us-insurance-shopping-study

 

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。

 

J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。 

 

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