Press Release

2024年自動車保険契約者満足度調査

顧客満足度とロイヤルティは横ばい。AIG 損保とソニー損保が前年に続き各部門でトップ

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2024年自動車保険契約者満足度調査SMの結果を発表した。

 

業界全体の顧客満足度とロイヤルティは代理店系、ダイレクト系ともに横ばい

本年調査の総合満足度は、前年調査(2023年11月発表)と比較して、代理店系保険会社*1の部門平均が+3ポイントの645ポイント、ダイレクト系保険会社*1の部門平均が+2ポイントの675ポイント(ともに1,000ポイント満点)となり、いずれも横ばいに推移した。総合満足度を構成する5ファクターを見ても、10ポイント以上増減しているものはどちらの部門でも見られなかった。加えて継続意向と推奨意向についても前年から大きな変化は確認されず、安定的なスコアであった。

*1以下、代理店系保険会社を代理店系、ダイレクト系保険会社をダイレクト系と記載。

 

ブランドイメージ設問を追加、代理店系のイメージ回復が急務

昨年報じられた自動車保険会社大手4社による保険金の不正請求関連問題など不祥事が目立つ中、顧客満足度を測定する当調査において本年より企業のブランドイメージを聴取する設問を追加した。契約している自動車保険会社に対して、「顧客重視」、「革新的」、「信頼できる」、「積極的」、「親しみやすい」、「財務的に安定」、「評判が良い」といった7つのテーマでブランドイメージを測定(7点満点)したところ、そのうち6項目で代理店系よりダイレクト系のほうが良いイメージを持たれていることが確認された。最も差が大きいものは「革新的」で0.47ポイント、次に「評判が良い」で0.33ポイントの差が確認された。加えて金融庁が重視する「顧客本位の業務運営に関する原則(フィデューシャリー・デューティー)」に関連する「顧客重視」においても0.29ポイントの差があることがわかった。代理店系の顧客へのイメージ回復が急務と言える。

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保険料の理解把握は満足度醸成に重要

自動車保険料の高騰はここ数年業界でも大きな話題の一つである。当調査でも、直近の更新/切替時において自動車保険料が「高くなった」と回答する人の割合は、代理店系では4割(前年比+8ポイント)、ダイレクト系でも3割超(前年同水準)であった。保険料の高額化の理由としては、保障の拡大、車両入替や等級の引き下げといった契約者意向によるものもあるが、物価上昇による修理費用の高額化、事故や自然災害の増加などといった純保険料率の増加に起因する要因もある。

本年より保険料の変化に対して理解度を問う設問を追加しているが、保険料の変更理由を理解している人(理解している+ある程度は理解している)は、理解していない人に比べて価格に対する満足度は40ポイント以上高いことが確認されており、自動車保険会社は契約者への保険料に対する理解を促す努力が求められると言える。

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J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門 常務執行役員 梅澤希一のコメント

「大手中古車販売会社による保険金不正請求問題や保険料高騰が騒がれた過去1年の中、業界全体の顧客満足度とロイヤルティが横ばい圏内の動きにとどまったことは予想外の結果であった。事故対応経験者以外では保険金不正請求問題は各顧客への影響が見えにくかったことがあるほか、保険料高騰も全般的な物価高騰の中で顧客が背景を理解しやすかったことが一因と考えられる。
一方、ブランドイメージについては代理店系とダイレクト系では明確な違いが見られ、代理店系よりダイレクト系のほうが良いイメージであることが確認された。こうした背景には、損害保険大手会社で保険金不正請求問題や企業向けの保険料を事前調整していたカルテルの問題などが大きく取り上げられたことがあるものと考えられる。足許では商慣行の見直しなどビジネスの健全化の必要性が叫ばれているが、各社は顧客にとって公平公正で信頼性があるかという顧客本位の姿勢で全ての商慣習をゼロベースで見直すことが強く求められていると言える。」

 

J.D. パワー 2024年自動車保険契約者満足度No.1を発表

総合満足度ランキングは下記の通り。

 

【代理店系保険会社部門】(対象5社)

第1位:AIG損保(659ポイント)
3年連続の総合満足度第1位。「契約内容/契約手続き」、「価格」、「顧客対応」の3ファクターで最高評価。

第2位:東京海上日動(654ポイント)
「保険証券」ファクターで最高評価。

第3位:損保ジャパン(641ポイント)
「事故対応/保険金支払」ファクターで最高評価。

 

【ダイレクト系保険会社部門】(対象7社)

第1位:ソニー損保(697ポイント)
8年連続の総合満足度第1位。「契約内容/契約手続き」、「事故対応/保険金支払」、「顧客対応」、「保険証券」の4ファクターで最高評価。

第2位:チューリッヒ(679ポイント)
「価格」ファクターで最高評価。

第3位:三井ダイレクト損保(671ポイント)

 

《J.D. パワー 2024年自動車保険契約者満足度調査SM概要》

年に1回、自動車保険(任意保険)の契約者を対象に実施し、契約保険の内容や、契約期間中の自動車事故保険金請求時の対応、新規申し込みを含む各種手続きや問合せ時の保険会社・代理店の対応実態や満足度を聴取し明らかにする調査。今回で13回目の実施となる。

商品の主な販売方法を基に「代理店系保険会社」と「ダイレクト系保険会社」の2部門に分け、それぞれの顧客満足度を測定している。部門定義は以下の通り。

<代理店系保険会社>専門代理店や車の販売店などの保険代理店をベースに事業を展開する保険会社
<ダイレクト系保険会社>代理店を介さずに主にインターネットや電話などで契約者と直接契約する保険会社

■実施期間:2024年7月中旬~下旬 
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:自動車保険(任意保険)の契約をしている人(18~99歳)
■調査回答者数:3,961人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「契約内容/契約手続き」(32%)、「価格」(18%)、「事故対応/保険金支払」(17%)、「顧客対応」(16%)、「保険証券」(16%)となっている(カッコ内は影響度)。

 

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

 

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。

 

J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。ビッグデータや人工知能(AI)、アルゴリズムモデリング機能を活用して消費者行動を捉える先駆者であり、消費者に関する鋭い業界インテリジェンスを提供してきました。J.D. パワーは半世紀以上に渡って、顧客とブランド・製品に関わり続け、主要産業における世界の大手企業から、顧客対応戦略の指針として信頼されています。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。

 

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