CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関であるJ.D. Power(本社:米国ミシガン州トロイ)は、現地時間3月21日に、J.D. Power 2024 U.S. Full-Service Investor Satisfaction StudySM(J.D. パワー 2024年米国個人資産運用<フルサービス型*1>顧客満足度調査SM)の結果を発表した。本調査は、米国のフルサービス型投資家向けの資産運用サービスについて聴取したもので、証券会社に対する満足度を測定している。
*1専任のファイナンシャル・アドバイザーやチームでの対応・アドバイスを受けることが可能な個人向け資産運用サービス
一般的に、株式市場が好調な時には投資家はファイナンシャル・アドバイザーに対して好意的だが、株式市場が低迷した場合にはどうなるのだろうか。本調査によると、フルサービス型投資家の満足度は前回調査(2023年4月発表)より8ポイント(1,000ポイント満点)向上している。しかしながら、弱点も見つかっており、特にミレニアル世代*2の富裕層投資家の顧客としての重要性が高まる中、その36%が今後1年間の間に「おそらく」または「間違いなく」資産運用会社を変更すると回答している。
*2J.D. パワーでは、1946年より前に生まれた人をプレブーマー世代、1946-1964年に生まれた人をブーマー世代、1965-1976年に生まれた人をX世代、1977-1994年に生まれた人をY世代、1995-2004年に生まれた人をZ世代と定義している。Y世代の中で、特に1982-1994年に生まれた人をミレニアル世代と定義している。
2024年調査の主なポイントは以下の通り:
好調な市場でファイナンシャル・アドバイザーに対する満足度が向上
フルサービス型投資家の総合満足度は735ポイントで、前回調査より8ポイント向上。この結果は、株式市場のパフォーマンスと連動して投資家の満足度が上昇するという長期的なトレンドと一致しており、市場動向に価値を左右されるアドバイザーの潜在的なリスク要因を示している。
若年富裕層に最大の離反リスク
ファイナンシャル・アドバイザーを持つ顧客、特にX世代以上の層において、意図的に資産運用会社を変更する傾向が非常に低い。
しかし、ミレニアル世代、特に富裕層のミレニアル世代においては状況が異なる。投資可能資産が100万米ドル以上のミレニアル世代の3分の1以上(36%)が、今後1年以内に資産運用会社を変える可能性があると回答した。このようなロイヤルティ欠如の潜在的な要因は、ミレニアル世代の70%がメイン以外の資産運用会社も利用していることである。ミレニアル世代より上の世代の富裕層では、この数値は著しく低い。
テクノロジーがますます重要に
テクノロジーとデジタルソリューションは、ファイナンシャル・アドバイザーの効率性を高め、より積極的な顧客エンゲージメントを実現する上で、ますます重要になってきている。フルサービス型投資家の大多数(86%)が、過去12ヶ月間に資産運用会社のサイトから口座にログインし、60%はモバイルアプリにログインしている。さらに、顧客がデジタルチャネルを理解し、活用できるよう時間をかけてサポートするファイナンシャル・アドバイザーは、一貫して投資家の満足度を高めている。デジタルオプションについて明確に説明できていないアドバイザーは、より否定的に受け止められ、デジタルサポートが充実しているアドバイザーに比べて紹介を受ける件数が半減する。
AIの急成長により、アドバイザーと投資家の関係に注目
AIを活用した投資アドバイス・ソリューションが急速に市場に浸透する中、ファイナンシャル・アドバイザーは何が差別化につながるのかを明確にする必要がある。今回調査では、フルサービス型投資家の顧客体験の41%がJ.D. パワー アドバイザー コンティニュアムの「取引中心*3」に分類されることがわかった。「取引中心」のアドバイスは、価格と効率性で効果的に競争できるテクノロジーを駆使したソリューションによって最大のリスクにさらされる。顧客独自の目標や課題、人生の大きな転機、リターンを超越した投資戦略などに対応する、真にパーソナライズ化されたアドバイスを提供することが、将来的に競合の脅威からビジネスを守るカギとなる。
*3トランザクショナルなものから包括的なものまで、アドバイスの有効性を評価する指標「J.D. パワー アドバイザー コンティニュアム」による分類。ファイナンシャル・アドバイザーのパフォーマンスを、“transactional(取引中心)”、“client-centric(顧客中心)”、“comprehensive(包括的)”の3カテゴリーに分類し、基本的なサービスから卓越したサービスまでの進歩を示している。
J.D. パワー エグゼクティブ・マネージング・ディレクター兼グローバル ウェルス&レンディング・インテリジェンス部門 部門長 クレイグ・マーティンのコメント
「投資家の満足度は株式市場のパフォーマンスと密接に連動するというのが従来の常識であったが、市場の好不調にかかわらず長期的で持続可能な関係を築きたいファイナンシャル・アドバイザーにとっては、顧客とのエンゲージメントをより深める必要がある。これは、他の世代の投資家に比べてロイヤルティの低い若い投資家層に特に当てはまる。アドバイザーは、若い投資家と有意義な関係を築くためにアプローチ方法を調整する必要がある。さもなければ、今後数年間に資産が大きく流出するリスクがあるとも言える。」
顧客満足度ランキング
第1位:U.S. Bank(USバンク)(761ポイント)
第2位:Edward Jones(エドワード・ジョーンズ)(749ポイント)
第3位:Vanguard(バンガード)(748ポイント)
《J.D. パワー 2024年米国個人資産運用<フルサービス型>顧客満足度調査SM概要》
年に1回、米国のフルサービス投資家を対象に、証券会社に対する満足度を聴取し明らかにする調査。今回で22回目の実施となる。
■実施期間:2023年1月~2024年1月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:投資決定の一部または全部をファイナンシャル・アドバイザーと行う投資家
■調査回答者数:9,951人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「信頼性」(19%)、「顧客対応(対人チャネル)」(18%)、「商品・サービス」(15%)、「手数料」(14%)、「資産管理 の利便性(方法・時間)」(14%)、「問題解決」(12%)、「顧客対応(デジタルチャネル)」(9%)の7ファクターとなっている。
*本報道資料は、現地時間 2024年3月21日に米国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2024-us-full-service-investor-satisfaction-study
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
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J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。ビッグデータや人工知能(AI)、アルゴリズムモデリング機能を活用して消費者行動を捉える先駆者であり、消費者に関する鋭い業界インテリジェンスを提供してきました。J.D. パワーは半世紀以上に渡って、顧客とブランド・製品に関わり続け、主要産業における世界の大手企業から、顧客対応戦略の指針として信頼されています。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。