Press Release

若年層の取り込みにはキャンペーンや優遇といった囲い込みに加え、充実した情報提供が重要

「取引手数料」、「取引できる投資商品の豊富さ」、「口座の情報のわかりやすさ」が満足度への影響度が高い

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2023年NISA顧客満足度調査SMの結果を発表した。

NISA(少額投資非課税制度)は、2024年1月に制度改正が予定されている。年金2,000万円問題やFIREなどを背景に、個人投資家の資産運用への関心も年々高まりを見せる中、J.D. パワーでは、NISA口座に関して金融機関の提供するサービス品質や利用実態を聴取する調査を今年初めて実施した。運用できる商品や顧客体験の違いから、「銀行(全国系、ネット)部門」と「証券部門」の2つのセグメントに分けて聴取している。

 

「取引手数料」、「取引できる投資商品の豊富さ」、「口座の情報のわかりやすさ」が満足度への影響度が高い

総合的な顧客満足度に影響を与える全7ファクター中、「取引手数料」*の影響度が特に高く、次いで影響度の高い「取引できる投資商品の豊富さ」、「口座の情報のわかりやすさ」、「運用のしやすさ」、「各種情報提供」を合わせた5ファクターが、総合満足度の95%以上を占める結果となった。

各金融機関が注力しているNISA口座運用における手数料の低さや、幅広い商品の中で運用商品を選べることが、NISAの満足度に大きな影響を与えていることがわかった。

一方、NISA口座に関する問い合わせは、銀行部門で約5割、証券部門では約7割が利用していないことからも、問い合わせの際のNISAに関する「質問への対応力」と「知識の豊富さ」の影響度は合わせても5%に満たない結果となった。

* 本文では一部省略した表記としている。正式なファクター名称は調査概要を参照。

 

NISA口座開設の理由のトップは口座開設が簡単、若年層はネット上の評判やキャンペーンや情報の充実度に敏感

NISA口座開設理由のトップは、銀行部門、証券部門ともに、「NISA口座の開設が簡単」であった。次いで、証券部門では「取引手数料が安い」、「銀行口座や証券口座との連携が便利である」が続くのに対して、銀行部門では「その金融機関を投資以外でも利用している」、「会社の知名度・信用度が高い」となった。

開設理由を年代別に確認したところ、年代での違いが見られた。銀行部門、証券部門ともに、60代以上では「その金融機関でNISA以外の投資口座を開設している」の割合が大きい一方、30代以下では「NISAに関するインターネットでの評判がよい」、「NISAに関するキャンペーン・優遇制度が充実している」、「NISAに関する情報が充実している」といった理由で選ばれていることが分かった。

2024年のNISA制度拡充を控え、金融機関にとって長期的な取引の見込める若年層の取り込みは重要であり、NISAに関するWebブランディングやキャンペーン等による囲い込み、充実した情報提供が効果的と言える。

2023_NISA_chart

 

J.D. パワー グローバル・ビジネス・インテリジェンス部門 常務執行役員 梅澤希一のコメント

「投資未経験者の資産運用への関心が高まっていることもあり、2024年のNISA制度の大幅拡充を控え、顧客獲得競争は激化している。一部ネット証券では売買手数料の無料化方針を打ち出すほか、個人投資家の囲い込みを狙った投資信託の手数料値下げ競争がみられるが、引き下げ余地にも限界があるものと考えられる。こうした中で、NISA口座の開設理由で、銀行部門、証券部門ともにトップが「NISA口座の開設が簡単」であったことは注目すべきポイントであると言える。手数料などで顧客のメリットを高めようとする動きも重要であるが、手続きの簡素化によりNISA開始に伴う時間的・心理的コストを軽減するとともに、制度上担保されているメリットの周知を促すことも、収益の確保と顧客満足度向上を両立させる観点からは重要と言える。」

 

J.D. パワー 2023年NISA顧客満足度No.1を発表

総合満足度ランキングは下記の通り。

【銀行(全国系、ネット) 部門】(対象4行)

第1位:三菱UFJ銀行(622ポイント)
「NISA口座での取引手数料」、「NISA口座で取引できる投資商品の豊富さ」、「NISA口座の情報のわかりやすさ(運用実績、投資限度額など)」、「NISA口座での運用のしやすさ(売買・積立商品の変更など)」の4ファクターで最高評価。

第2位:三井住友銀行(621ポイント)
「NISAに関する各種情報提供(パンフレット、リーフレット、Webでの情報提供など)」、「問い合わせ の際のNISAに関する知識の豊富さ」の2ファクターで最高評価。

第3位:ゆうちょ銀行(616ポイント)
「問い合わせの際のNISAに関する質問への対応力」ファクターで最高評価。

 

【証券部門】(対象10社)

第1位:SBI証券(674ポイント)
「NISA口座で取引できる投資商品の豊富さ」、「NISA口座での運用のしやすさ(売買・積立商品の変更など)」の2ファクターで最高評価。

第2位:楽天証券(661ポイント)
「NISA口座の情報のわかりやすさ(運用実績、投資限度額など)」、「問い合わせの際のNISAに関する質問への対応力」、「問い合わせの際のNISAに関する知識の豊富さ」の3ファクターで最高評価。

第3位:マネックス証券(657ポイント)

 

《J.D. パワー 2023年 NISA顧客満足度調査SM概要 》

年に1回、民間の銀行、証券会社で、NISA口座での資産運用を行っている個人投資家(全国の20歳~79歳)を対象に、直近1年間のサービス利用経験に対する満足度を明らかにする調査。今回、初めての実施となる。

■実施期間:2023年4月上旬 
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:銀行、証券会社で、NISA口座での資産運用を行っている人(20歳~79歳)
■調査回答者数:4,895人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「NISA口座での取引手数料」(25%)、「NISA口座で取引できる投資商品の豊富さ」(19%)、「NISA口座の情報のわかりやすさ(運用実績、投資限度額など)」(18%)、「NISA口座での運用のしやすさ(売買・積立商品の変更など)」(17%)、「NISAに関する各種情報提供(パンフレット、リーフレット、Webでの情報提供など)」(17%)、「問い合わせの際のNISAに関する質問への対応力」(3%)、「問い合わせの際のNISAに関する知識の豊富さ」(2%)となっている(カッコ内は影響度)。

 

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

 

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。         

 

J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。

 

2023_NISA_Rankingchart1
2023_NISA_Rankingchart2
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