CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2020年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査SMの結果を発表した。
コロナ禍において大企業を中心にモバイル通信環境への支出増
法人契約で利用している携帯電話サービスにおいて、新型コロナウイルスへの対応で発生した事象を聴取したところ、「データ通信量増加による追加料金の発生やデータプラン見直し」は6%、「音声通話料の増加や音声プラン見直し」は1%、「携帯電話端末の追加購入」は9%、「携帯電話以外のモバイル通信機器の新規・追加購入」は8%となった(下図参照)。また、「特になかった」が81%という結果になり、企業全体で見ると、コロナ禍でのモバイル契約に関する追加支出はほとんど見られなかった。
一方、従業員数1,000名以上の大企業に絞って見ると、これらの発生割合は全体と比較して多く挙がっており、多くの大企業がテレワークを導入したことが影響していると考えられる。
携帯電話会社のこれらに対する手続き対応については、8割が「迅速だった」「まあ迅速だった」と回答しており、コロナ禍の中、多くにおいて顧客の期待に沿ったスムーズな対応が行われていると考えられる。とくに「迅速だった」とする企業においては携帯電話サービスに対する満足度が総じて高く、今後取引内容を拡大したいという意向も高い。有事における迅速な顧客対応は顧客ロイヤルティの醸成という面においても重要と言える。
テレワークにおける通信環境、Wi-Fiルーターの貸与を行う企業も多い
本年の調査ではテレワークの導入状況や利用通信環境についても聴取を行った。「新型コロナウイルス対策をきっかけにテレワークを一時的に導入した」という回答は35%、「恒久的に導入した」は5%、「以前から導入している」は3%となっており、全体では4割強でテレワークを導入しているという回答となった(下図円グラフ参照)。一方で、従業員数1,000名以上の大企業ではその割合は7割となっており、現状下においてテレワークは大企業中心に実施されていることがうかがえる。
テレワーク中の通信環境については、社員が個人で契約している回線(自宅のインターネット等)が8割弱を占め、テレワークの多くが個人契約の自宅回線から行われていると言える(下図棒グラフ参照)。一方で「モバイルWi-Fiルーター」や「LTE回線内蔵パソコン/タブレット」といったモバイル回線を使用する通信機器を支給しているケースも一定数あり、それぞれ43%、12%となった。これらモバイル通信機器を使用しているケースは大企業で多く、テレワークにおける懸念として「通信料金の上昇」を挙げる傾向も高い。大企業を中心に進んだテレワークであるが、通信コストの負担増という課題が見えている。
J.D. パワー 2020年法人向け携帯電話サービス顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
<大企業・中堅企業市場部門>※従業員数100名以上企業市場
第1位:KDDI (643ポイント)
5年連続の総合満足度第1位。「コスト」ファクターで最高評価。
第2位:NTTドコモ (632ポイント)
第3位:ソフトバンク (607ポイント)
<中小企業市場部門>※従業員数50名以上100名未満企業市場
第1位:KDDI (630ポイント)
当市場において初の総合満足度第1位。「コスト」ファクターで最高評価。
第2位:NTTドコモ (622ポイント)
第3位:ソフトバンク (575ポイント)
《 J.D. パワー 2020年法人向け携帯電話サービス顧客満足度調査SM概要 》
年に一回、全国の企業を対象に法人契約をしている携帯電話サービスの利用状況や各種経験、満足度を聴取し明らかにする調査。今年で12回目の実施となる。
■実施期間: 2020年7月中旬~8月中旬 ■調査方法:郵送調査
■調査回答社数: 大企業・中堅企業市場(従業員数100名以上企業) :2,068社から2,634件
中小企業市場(従業員数50名以上100名未満企業):1,161社から1,408件
※1回答企業から最大2社の評価を聴取
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に 1,000 ポイント満点で総合満足度スコアを算出。顧客満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「コスト」(33%)、「営業対応」(31%)、「携帯電話端末・サービス*1」(27%)、「トラブル対応」(9%)となっている(カッコ内は影響度)。
*1 携帯電話端末、各種提供サービス、通信品質・エリアに関する評価領域