CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2020年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査SMの結果を発表した。
リモートアクセス等、依然高いテレワークニーズ
ネットワーク環境における今後の課題について聴取したところ、本年調査では、「リモートアクセス環境の構築・整備」を挙げる企業が増加した。前年調査(2019年10月発表)と比較すると、大企業では21%→34%、SMB(中堅・中小企業)では14%→27%と、大きな増加が見られた(下図参照)。
また、ネットワークの高速化やセキュリティ向上についても、今後の取り組み課題としている企業が依然として多い。「ネットワークの高速化・広帯域化」は大企業では約半数(49%)、SMBでは約4割(37%)、「システム全体のセキュリティレベル向上」は大企業、SMB共に約4割(39%)となった。今春の新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに加速したテレワークであるが、新型コロナウイルスの収束がいまだ見通せない中、生産性を落とさずに業務を遂行する上で、セキュアな環境でのスムーズな社内ネットワークへの接続に対するニーズが依然強まっていることがうかがえる。
ネットワーク回線サービス(広域イーサネット、IP-VPN、インターネット接続等)の契約において、通信事業者が提供する「リモートアクセスサービス」や「セキュリティサービス」も利用しているという企業は、まだ全体の2割程度だが、このような企業の総合満足度は高い。特に「営業・導入対応」に対する評価が高い傾向が見られている。
多くの企業(大企業では約7割、SMBでは約5割)が、自社の課題解決や業務改善に向けたソリューション提案やサービス提供を、通信事業者に対して期待していると回答している。コロナ禍そしてコロナ後における顧客の業務に通信事業者としてどのように関わっていけるか重要な局面となっている。ネットワークの速度・安定性向上とセキュリティの両立といった快適なテレワーク環境の提供等を通じ、顧客の生産性向上や業務効率化に向けた更なる貢献が期待される。
半数以上の大企業が5G活用に関心
今年春から本格的に始まった5Gサービスについて、企業ネットワークにおける今後の利用意向を聴取した。固定回線に代わるものとして「5G回線を主に利用していきたい」とする企業は大企業・SMBともに3%と少ないが、「用途に応じて固定回線・5G回線の両方を使い分けていきたい」という回答は大企業では52%、SMBでは31%となった(下図参照 )。5G回線による企業ネットワークの構築に多くの企業が関心を寄せていることがうかがえる。
5Gのエリア拡大はまだこれからではあるが、この先、用途や目的に応じて固定/5G双方のサービス提案を行っていけることも重要となってくるであろう。
J.D. パワー 2020年法人向けネットワークサービス顧客満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
<大企業市場部門>※従業員数1,000名以上企業市場
第1位:KDDI (638ポイント)
2年連続の総合満足度第1位。「サービス内容/品質」「営業・導入対応」の2ファクターで最高評価。
第2位:ソフトバンク (630ポイント)
「コスト」ファクターで最高評価。
第3位:NTTコミュニケーションズ(605ポイント)
<SMB市場部門>※従業員数50名以上1,000名未満企業市場
第1位:中部テレコミュニケーション(703ポイント)
15年連続の総合満足度第1位。「サービス内容/品質」「営業・導入対応」「コスト」の3ファクターで最高評価。
第2位:エネルギア・コミュニケーションズ (646ポイント)
第3位:オプテージ(616ポイント)
《 J.D. パワー 2020年法人向けネットワークサービス顧客満足度調査SM概要 》
年に一回、全国の企業を対象に、通信事業者が提供する固定系の法人向けネットワークサービス*に対する顧客満足度を聴取し明らかにする調査。今年で19回目の 実施となる。
* レイヤー2/3混合VPNサービスやIP-VPN、広域イーサネット、インターネット接続サービスなど
■実施期間:2020年8月下旬~9月下旬 ■調査方法:郵送調査
■調査対象:全国の従業員数50名以上の企業
■調査回答社数: 大企業市場(従業員数1,000名以上企業):291社から416件
SMB市場(従業員数50名以上1,000名未満企業):4,446社から5,488件
※1回答企業から最大2社の評価を聴取
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に 1,000 ポイント満点で総合満足度スコアを算出。顧客満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「サービス内容/品質」(43%)、「営業・導入対応」(27%)、「コスト」(27%)、「障害・トラブル対応」(3%)となっている(カッコ内は影響度)。