Press Release

宿泊客満足度は依然としてコロナ禍前を大きく上回る高水準を維持

チェックイン/チェックアウトのセルフサービス化が進展

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2022年ホテル宿泊客満足度調査SMの結果を発表した。

今年で16回目の実施となる本調査は、昨年に引き続き宿泊主体型ホテルの「ミッドスケールホテル部門」、「エコノミーホテル部門」の2部門での調査を行った。

 

宿泊客満足度は昨年に続き、高水準を維持

  2020年以降の新型コロナウイルスの感染拡大によりホテル宿泊客数は大幅に落ち込んでいたが、22年に入りコロナ禍前の水準までとはいかないものの、回復が見られている。

宿泊客満足度を見ると、前回調査(2021年11月発表)はコロナ禍前の2019年と比較して「ミッドスケールホテル部門」、「エコノミーホテル部門」共に、大幅な向上が見られたが、本年調査でも依然としてコロナ禍前を大きく上回る高い満足度水準を維持している(下図参照)。「エコノミーホテル部門」の宿泊客満足度は699ptで前回とほぼ横ばい、「ミッドスケールホテル部門」は729ptで前回から9ptの向上となった。「ミッドスケールホテル部門」では「料飲(F&B)」及び「チェックイン/チェックアウト」の評価が顕著に向上した。

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 両部門共に前回調査では平均宿泊料金が当調査開始以来の最低水準を記録したが、今回はコロナ禍前の2019年までの水準への回復とはいかないまでも、前回から1,000円前後の増加が確認された。その一方で、「料金」の満足度は両部門共に前回比で10pt未満の低下にとどまり、高水準を保っているといえる。調査実施時点(22年8月)では全国旅行支援は開始されておらず、客室稼働率も完全な回復をしていなかったため、宿泊客に対して比較的余裕を持ったサービスの提供ができたことが、コストパフォーマンスの維持につながったと考えられる。

今後、国内及び訪日外国人の宿泊需要回復によりさらなる稼働率の上昇が予想される中、コロナ禍以降向上している宿泊客満足度をいかに維持していけるかがホテル業界全体にとって大きな課題といえよう。

 

チェックイン/チェックアウトのセルフサービス化が進展

スタッフの人手不足解消や、コロナ禍で高まった非接触・非対面のニーズへの対応として「自動チェックイン機によるセルフサービスでのチェックイン」、「ホテルのアプリを使用したチェックイン」が注目されつつある。本年調査において、このようなセルフサービスでのチェックインを行った割合は、「ミッドスケールホテル部門」では13%、「エコノミーホテル部門」では14%となり、コロナ禍前の19年から一貫して増加している(下図参照)。

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  ホテルブランド別に見ると、セルフサービスでのチェックイン割合が最も高いブランドは64%に達する一方、低いブランドでは2%に過ぎず、利用状況に大きな差があることが確認された。

 本調査においてはチェックイン/チェックアウトをスマートフォンのアプリやQRコードなどでできる「スマートチェックインサービス」の意向に関しても聴取しており、このサービスを「重要だと思う」と「やや重要だと思う」と回答した割合の合計は、いずれの部門においても70%を超えており、特に30代以下の若年層での意向が高い。

 今後、宿泊客のニーズとホテル側の業務効率化の両面から、自動チェックイン機、アプリ、QRコードなどを利用したチェックインのセルフサービス化はますます進んでいくことが想定される。一方で、今までの当調査の結果から、総合的な宿泊客満足度の向上のためにはスタッフによる気遣いや配慮を感じる対応が重要であることがわかっている。

セルフサービス化による業務効率の向上を進めると共に、スタッフ自らが能動的に宿泊客に対応する機会を増やしていくなど濃淡をうまくつけていくことが満足度の向上には欠かせないといえよう。

 

SDGs関連項目ではアメニティバー、地産地消の飲食が高いニーズ

 ホテル業界においてもSDGsへの取り組み強化が言われているが、ホテル宿泊時に今後利用したいものとして上位にあがった項目は、「アメニティバー(ミッドスケールホテル部門:41%、エコノミーホテル部門:38%)」、「地産地消の飲食の提供(同31%、28%)」、「連泊時に清掃が必要か不要か選べること(同28%、28%)」、「連泊時にシーツやタオルの交換が必要か不要か選べること(同28%、27%)」であった。「アメニティバー」は、現在でも「ミッドスケールホテル部門」で33%、「エコノミーホテル部門」で30%の宿泊客が利用しており、宿泊主体型ホテルには根付いてきている取り組みといえよう。

一方、「地産地消の飲食」の利用率は両部門共に10%前後となっており、まだ低い状況にある。宿泊主体型ホテルでの飲食の提供場面は、朝食や宿泊客専用ラウンジでのドリンクの提供などに限られているが、そのような機会に積極的に地産地消商品を取り入れ、宿泊客に対してしっかりと訴求することが、SDGsへの取り組み推進のみならずホテルの魅力度を高める一つの方策となると考えられる。

 

J.D. パワー 2022年ホテル宿泊客満足度No.1を発表

総合満足度ランキングは下記の通り。

 

<ミッドスケールホテル部門>(対象15ブランド)

第1位:OMO(769ポイント)
「客室」、「チェックイン/チェックアウト」、「ホテル施設」、「F&B」の4ファクターで最高評価。

第2位:リッチモンドホテル(751ポイント)

第3位:ホテルJALシティ(749ポイント)

 

<エコノミーホテル部門>(対象12ブランド)

第1位:スーパーホテル(725ポイント)
8年連続 *の総合満足度第1位。「チェックイン/チェックアウト」、「ホテルサービス」の2ファクターで最高評価。
調査実施年ベース(2020年は調査を実施していない)

第2位:ヴィアインホテル(724ポイント)
「客室」、「ホテル施設」の2ファクターで最高評価。    

第3位:コンフォート(716ポイント)
「料金」ファクターで最高評価。

 

《J.D. パワー 2022年ホテル宿泊客満足度調査SM概要》

年に1回、日本全国のホテルグループ・チェーン *1を対象に、直近1年間に宿泊したホテルに対する満足度を聴取し明らかにする調査。今年で16回目の実施となる。本年の調査は前回(2021年11月発表)と同様に宿泊主体型ホテル(複数のレストランや宴会場を設けず客室販売を主体としたホテル)のみを対象として実施した。
ホテルの提示する正規宿泊料金や客室面積をもとに「ミッドスケールホテル部門」、「エコノミーホテル部門」の2部門 *2に分け、それぞれにおける宿泊客満足度を測定している。

■実施期間:2022年9月中旬~下旬 
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:直近1年以内にホテルに宿泊した人(20歳~74歳)
■調査回答者数:ミッドスケールホテル部門: 4,319人/エコノミーホテル部門:4,101人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に以下の通り(カッコ内は影響度)。

ミッドスケールホテル部門:「客室」(22%)、「チェックイン/チェックアウト」(19%)、「料金 *3」(18%)、「ホテル施設」(18%)、「料飲(F&B)」(12%)、「ホテルサービス *4」(10%)、「予約 *5」(1%)。 

エコノミーホテル部門:「客室」(22%)、「チェックイン/チェックアウト」、「料金 *3」(共に19%)、「ホテル施設」(16%)、「料飲(F&B)*6」(11%)、「ホテルサービス *4」(10%)、「予約 *5」(2%)。

*1   国内で10棟以上を統一ブランド名で運営しているホテルで総客室数が1,500室以上かつ、事前調査により一定水準のサンプル数を満たしたブランド。
*2  ミッドスケールホテル部門:正規料金の最多価格帯9,000円以上15,000円未満、もしくは最多価格帯が9,000円未満かつ最多客室面積が15㎡以上
    エコノミーホテル部門:正規料金の最多価格帯9,000円未満かつ最多客室面積が15㎡未満
*3 客室料金、通話料金、F&B料金など滞在中に費やした費用全体の評価
*4 レジャー/フィットネス、温泉・浴場、ビジネスセンター等の施設やインターネット接続等の附帯サービス全体の評価
*5 電話及びウェブサイトを通じホテルもしくはホテルグループ・チェーンに直接おこなった予約の評価
*6 エコノミーホテル部門では、レストラン・バー・ラウンジ施設を附帯しないホテルブランドを考慮し「朝食」として提供される料理や会場・レストランの評価を採用

 

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。

J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。

 

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