Press Release

損害保険会社によるデジタル投資は上昇する保険料の相殺には不十分

セーフコが保険サービス部門、カントリー・ファイナンシャルが保険契約部門においてランキング首位

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州 トロイ)は、現地時間5月24日に、J.D. Power 2022 U.S. Insurance Digital Experience StudySM (J.D. パワー 2022年米国保険デジタル・エクスペリエンス顧客満足度調査SMの結果を発表した。

本調査は損害保険会社の典型的な保全サービス*1を利用している既存顧客と、見積もり依頼をした見込み客におけるデジタルチャネルでの消費者体験を聴取したもので、「保険サービス(Service)部門」、「保険契約(Shopping)部門」の2つのセグメントの結果を発表している。11回目となる本調査(2022年調査)では、調査設計の変更が行われており、ファクターの変更や満足度評価スコアの選択肢スケールの変更(10段階⇒7段階)が行われている。

*1「オンライン・アカウントの設定」、「アカウントへのログイン」、「コンタクト情報の変更」、「契約の確認」、「請求プロセスの確認」、「車両の追加・変更」等のサービスを指す。

 

セーフコが保険サービス部門、カントリー・ファイナンシャルが保険契約部門においてランキング首位

最新式の顧客体験、シームレスなカスタマー・サポート、ナビゲーションの改善は、損害保険業界のデジタル変革を明確にし、顧客満足度を向上させるはずであったが、保険料の上昇に圧倒された。本調査によると、顧客向けウェブサイトやモバイルアプリに多額の投資を行ったにもかかわらず、保険会社のデジタルサービスに対する総合満足度は低下した。

 

2022年調査の主なポイントは以下の通り:

 

保険料上昇への不満が顧客満足度に大きく影響

損害保険会社の「保険契約部門」におけるデジタルサービスの顧客体験に対する総合満足度はわずか499ポイント(1,000ポイント満点)にとどまり、前年比-16ポイントの低下となった。保険サービス部門のデジタルサービスの顧客体験に対する総合満足度は705ポイントで、2021年調査と比較し-1ポイント低下した。「保険契約部門」における顧客満足度が低下している背景には、保険料の上昇や、新しい保険の契約による保険料の軽減を見出せないことに対する顧客の不満が高まっていることがある。

 

保険契約ツールはほとんど利用されず

保険契約のデジタルツールは、顧客に保険料の割引、契約内容、特別な補償や独自の特典を案内するもので、利用した場合+137~211ポイントの顧客満足度向上に影響する。しかし、保険契約者の54%は、見積もり時に保険契約ツールを利用しなかった。

 

モバイルアプリは素晴らしいが、アプリ間には格差

本調査では、保険サービスにおいてモバイルアプリのパフォーマンスに大きな格差があることが明らかになった。
モバイルアプリを使用している顧客のうち満足度の高い上位25%の総合満足度の平均スコアは885ポイントで、他のどのチャネルよりも大幅に高くなった。しかし、モバイルアプリを使用している顧客のうち満足度の低い下位25%の総合満足度の平均スコアは、-358ポイント低下し、527ポイントとなった。

 

従来型の保険会社は新興のインシュアテック企業に引けを取らない

デジタル保険サービスに対する総合満足度は、従来型の保険会社とデジタルネイティブなインシュアテック企業との間で変わらない。「読み込みの速さ」と「ウェブサイト/モバイルアプリの見やすさ」のファクターではインシュアテックが従来型保険会社を上回るが、従来型保険会社は「情報・コンテンツ」のファクターと顧客が必要とするときに人的サポートの提供を行うことでその差を埋めつつある。

 

 

J.D. パワー インシュアランス・インテリジェンス部門ディレクター、ロバート・ラジアックのコメント

「損害保険会社はテクノロジーへの投資を増加し続けているが、より安い保険料を求めてインターネットを利用し、より良い保険契約を見つけられない顧客の不満が、その改善を打ち消している。また、デジタル保険契約の顧客の半数以上が、契約プロセスを支援するデジタルツールや教育リソースを利用していない傾向が明らかになった。これは、顧客満足度の低下をさらに加速させた。」

 

本調査の共同実施者であるCorporate Insight社社長、マイケル・エリソン氏のコメント

「損害保険業界は全体的にテクノロジーへ多大な投資をしているが、その実行力には企業間で大きなばらつきが見られた。特にモバイルアプリの分野では、満足度スコア上位の企業は新境地を開拓しているが、下位の企業の総合満足度は低いままだった。また、調査対象の企業の間で注目すべき前年比からの変動が見られ始め、優れたテクノロジーへの賢い投資が迅速な顧客満足度向上につながることが示された。」

 

 

顧客満足度ランキング

【保険サービス(Service)部門】

第1位:Safeco (セーフコ)(738ポイント)

第2位:State Farm (ステート・ファーム)(733ポイント)

第3位:Progressive(プログレッシブ)(725ポイント)

 

【保険契約(Shopping)部門】

第1位:COUNTRY Financial(カントリー・ファイナンシャル)(525 ポイント)

第2位:Auto Club of Southern California (オートクラブ・オブ・サザンカリフォルニア)、Auto-Owners Insurance(オートオーナーズ)(同点、517ポイント)

《J.D. パワー 2022年米国保険デジタル・エクスペリエンス顧客満足度調査SM概要》

年に1回、損害保険会社に対して見積もりを依頼する見込み客と、従来の保険サービスを利用している既存顧客を対象に、デジタルチャネルでの消費者体験に関する満足度を聴取し明らかにする調査。
金融サービスおよびヘルスケア業界における競合情報分析およびユーザーエクスペリエンス調査の大手プロバイダーであるCorporate Insight社と提携して実施している。今回で11回目の実施となる。

■実施期間:2022年2月~3月 
■調査方法:インターネット調査
■調査対象: 米国の損害保険会社のデジタルチャネル利用者
■調査回答者数:10,671人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を 基に 1,000 ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影 響度が大きい順に、「操作のしやすさ」、「読み込みの速さ」、「ウェブサイト/モバイルアプリの見やすさ」、「情報・コンテンツ」の4ファクターとなっている。

 

*本報道資料は、現地時間 2022年5月24日に米国で発表されたリリースを要約したものです。

原文リリースはこちら 

https://www.jdpower.com/business/press-releases/2022-us-insurance-digital-experience-study

 

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。

J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。

Corporate Insight社について:
Corporate Insight社は、25年以上にわたり米国の主要な金融サービスおよびヘルスケア機関に対する競合情報分析、ユーザーエクスペリエンス調査、およびコンサルティングサービスの業界リーダーとして認められています。 業界最高レベルの研究プラットフォームと実際の顧客体験を分析するユニークなアプローチは、企業が市場での競争力を高めるのに役立ちます。詳細についてはcorporateinsight.comにアクセスしてください。

 

2022_US_Insurance_Digital_Experience_Rankingchart1
2022_US_Insurance_Digital_Experience_Rankingchart2
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