CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州トロイ)は、現地時間4月27日に、J.D. Power 2023 U.S. Insurance Shopping StudySM(J.D. パワー 2023年米国自動車保険契約顧客満足度調査SM)の結果を発表した。
本調査は、年に1回、過去9ヶ月間に現在契約していない保険会社に自動車保険料の見積りを依頼した人を対象に、契約プロセスにおける保険会社に対する満足度を測定している。
米国の自動車保険各社は、インフレ、保険料の上昇、右肩上がりの顧客離反率という悪循環に陥っている。本年調査によると、多数の自動車保険契約者が、主に保険料を理由に保険プランの見積りの依頼や切り替えをしており、節約への関心がより一層高まっていることが明らかになった。
2023年調査の主なポイントは以下の通り:
自動車保険の見積り依頼が増える一方で、顧客満足度は低迷
本年調査の総合満足度は861ポイント(1,000ポイント満点)で、見積取得率や切り替え率が上昇しているにもかかわらず、前年比で横ばいとなった。
J.D. Powerが別途実施している調査結果によると、2023年3月時点で、直近30日間に見積りを依頼した人の割合(月次平均)は13.1%で、2021年6月以降最も高く、2021年の年間平均11.4%を大きく上回った。また、直近30日間に他社へ切り替えをした人の割合は月次平均で4.1%となり、2021年の年間平均3.4%を上回った。
保険料の引き上げが切り替えの検討に拍車
自動車保険料は2023年2月に、インフレ率(6%)の2倍以上となる14.5%に上昇し、消費者の裁量的支出*1に占める自動車保険の割合は着実に増加している。
そのため、保険料を理由に見積りを依頼した人のうち、44%が「複数の保険会社で保険料の比較検討を行った」、42%が「現契約の保険料引き上げが直接的な理由となり、保険会社を切り替えた」と回答した。また、保険料引き上げを理由に保険会社の切り替えを検討した人の41%が「保険料が2割以上上がった」と回答した。
*1 個人支出のうち、自由に使える支出を裁量的支出(Discretionary Spending)と呼ぶ。
UBI(利用ベース保険)が主流に
テレマティクスソフトウェアを使用して顧客の運転スタイルを監視し、安全性と走行距離の指標に基づいて料金を算定するUBIプログラム(利用ベース保険)は、保険の契約を検討している人の22%に提案され、そのうち18%が契約に至った。2020年の提案率(16%)、契約率(12%)から上昇している。また、保険会社がUBIプログラムをオプションとして提供した場合、顧客満足度は+6ポイント上昇することが確認された。
ガイコが低迷する中、プログレッシブがシェアを拡大
ガイコ(GEICO)は2022年後半に業界平均を大幅に上回る保険料の引き上げを行った。対して、プログレッシブ(Progressive)は2022年第1四半期に保険料を引き上げ、下半期は平均を下回る料金引き上げを行った。同期間において、プログレッシブは市場シェアを顕著に伸ばし、ガイコを抜き、ステート・ファーム(State Farm)に次ぐ米国第2位の自動車保険会社となった。
J.D. パワー インシュアランス・ビジネス・インテリジェンス部門 シニアディレクター スティーブン・クルーソンのコメント
「自動車保険の顧客は、ガソリンを給油するような感覚で保険を契約するようになりつつある。つまり、顧客が自身のニーズと予算に合うプランを求めることに積極的な姿勢をとっている。このことは、一括販売やその他の取り組みを通じて生涯価値の構築に長年取り組んできた保険会社にとって、長期的に深刻な影響を与える可能性がある。短期的には、このような傾向は、UBI(利用ベース保険)に対する顧客の関心の高まりや、上位の保険会社の間での市場シェアの入れ替わりという形で現れている。」
顧客満足度ランキング
<大規模保険会社部門>
第1位:State Farm(ステート・ファーム)(877ポイント、3年連続の総合満足度第1位)
第2位:Liberty Mutual(リバティ・ミューチュアル)(865ポイント)
第3位:Nationwide(ネイションワイド)(861ポイント)
<中規模保険会社部門>
第1位:The Hartford(ハートフォード)(887ポイント、2年連続の総合満足度第1位)
第2位:Erie Insurance(エリー)(878ポイント)
第3位:Automobile Club of Southern California(AAA)(南カリフォルニア全米自動車協会)(870ポイント)
《J.D. パワー 2023年米国自動車保険契約顧客満足度調査SM概要》
年に1回、過去9ヶ月間に現在契約していない保険会社に自動車保険料の見積りを依頼した人を対象に、契約プロセスにおける保険会社に対する満足度を明らかにする調査。
今回で17回目の実施となる。
■実施期間:2022年3月~2023年1月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:過去9ヶ月間に現在契約していない保険会社に自動車保険料の見積りを依頼した人
■調査回答者数:10,845人
総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「保険料」(36%)、「販売チャネル」(25%)、「契約内容」(22%)、「見積り」(17%)となっている。
*本報道資料は、現地時間 2023年4月27日に米国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら
https://www.jdpower.com/business/press-releases/2023-us-insurance-shopping-study
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
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J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。
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