CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、J.D. パワー 2024年日本自動車初期品質調査SM(Initial Quality Study、略称IQS)の結果を発表した。
自動車の初期品質を捉える本調査は新車購入者を対象に年1回実施され、今回で14回目となる。
スズキが初の総合第1位、ラグジュアリーブランドではレクサスが第1位
ランキング対象となった14ブランド中、最も不具合指摘が少なかったブランドはスズキであった(132PP100、車両100台当たり132箇所の不具合指摘数)。スズキは2011年の本調査開始以来初の総合第1位である。ラグジュアリーブランドセグメントではレクサス(149PP100)が第1位となった。
2021年以降最も多い総合不具合指摘数、使い勝手に対する指摘が大半
2024年調査の総合不具合指摘数平均は152PP100であった。2023年(151PP100)から改善が見られず、現在の調査項目になった2021年以降最も不具合指摘が多い。不具合指摘の内訳は「分かりにくい/使いにくい」をはじめとする車両設計に関する指摘が大半(117.8PP100)であり、「壊れている/作動しない」といった製造品質に関する不具合指摘は31.8PP100にとどまる。分かりにくさや使いづらさは現代の車の品質における大きな課題となっている。
インフォテインメントに関する不具合指摘は更に増加
不具合指摘を測定する9カテゴリー中、最も不具合指摘が多いカテゴリーはインフォテインメント(31.2PP100)で、前年に比べ2.0ポイント増加している。インフォテインメントの不具合指摘はブランド間での差も大きく、最も不具合指摘の少ないブランドでは17.7PP100、最も多いブランドでは97.7PP100と80.0ポイントもの開きがある。インフォテインメントの品質強化は初期品質改善における大きなカギである。
Android Auto/Apple CarPlay装備車両は、非装備車両に比べインフォテインメントに関する不具合指摘が倍増
Android Auto、Apple CarPlayのどちらか又は両方が装備されている車両のインフォテインメント不具合指摘は44.7PP100で、どちらも装備されていない車両のインフォテインメント不具合指摘(21.7PP100)の倍以上の多さである。Android Auto/Apple CarPlayは年々装備率が高まっており、初期品質において看過できない問題となっている。
不具合の詳細をみるとAndroid Auto/Apple CarPlay を利用している人と利用していない人では、指摘ポイントに違いが見られた。Android Auto/Apple CarPlay利用者では「Android Auto/Apple CarPlay - 作動しない/接続の不具合」や「車載Bluetooth - ペアリング/接続不良がよくある」等、車両とスマートフォンの接続関連の不具合指摘が多くなっている。スマートフォン接続品質は自動車メーカーだけの問題ではないが、接続品質の向上は必須の課題といえる。対して、Android Auto/Apple CarPlay非利用者では「車載ナビゲーションシステム - 分かりにくい/使いにくい」や「車載音声認識 - コマンドを認識しないことがよくある/分かりにくい/使いにくい」といった車載システム自体への不具合指摘が多くなっている。
Android Auto/Apple CarPlayが装備された車を保有していても機能を利用しない人も約4割(38%)占める。車載システム自体の改善も同時に重要な課題となっている。
燃費に関する不具合指摘が増加傾向
ガソリン/ディーゼル車(ICE)やハイブリッド車(HEV)について「燃費が悪すぎる」という不具合指摘は微増傾向が続いている。2021年調査と比較すると、ICEでは2021年の2.7PP100から3.6PP100、HEVでは2021年の1.5PP100から2.2PP100となっている。実際の燃費を聴取した質問では実燃費が悪化する傾向はみられないことから、近年の燃油価格の上昇や物価上昇により、同じ燃費性能でも不具合を感じるユーザーが増えている可能性がある。
車線逸脱ワーニング/レーンキープアシストの警告のわずらわしさは継続的に改善
詳細項目中最も不具合指摘が多いのは、2021年から4年連続で、「車線逸脱ワーニング/レーンキープアシスト - 警告がわずらわしい(4.4PP100)」であった。しかしながら継続的に改善傾向にあり、2023年に比べて1.0ポイント、2021年に比べ1.9ポイント不具合指摘は減っており、2021年以降最も不具合指摘が減った項目でもある。一部の不具合指摘については明確な改善傾向がうかがえる。
J.D. パワー 2024年 日本自動車初期品質調査、各部門のNo.1は以下の通り。
【ブランドアワード】
ブランド総合:スズキ
ラグジュアリーブランド:レクサス
【セグメントアワード】
軽セダン:スズキ アルト
軽ハイトワゴン:ダイハツ タフト、スズキ ハスラー(同点)
軽スーパーハイトワゴン:スズキ スペーシア
コンパクト:ホンダ フィット
コンパクトSUV:日産 キックス
ミッドサイズ:スバル インプレッサ
ミッドサイズSUV:ホンダ ヴェゼル、スバル クロストレック(同点)
コンパクトミニバン:ホンダ フリード
ミニバン:ホンダ ステップワゴン
《J.D. パワー 2024年 日本自動車初期品質調査SM(IQS)概要》
年に一回、新車購入後2~13ヶ月経過したユーザーを対象に、所有する自動車の不具合経験を9カテゴリー225項目について聴取し、自動車の初期品質に関するユーザー評価を明らかにする調査。今年で14回目の実施となる。
9カテゴリーは以下の通り:
「外装」、「走行性能」、「装備品/コントロール/ディスプレイ(FCD)」、「運転支援」、「インフォテインメント」、「シート」、「空調」、「内装」、「パワートレイン」。
全ての不具合項目は車100台当たりの不具合指摘数(Problems Per 100 vehicles = PP100)として集計され、スコアが低いほど不具合指摘が少ない(品質が高い)ことを示す。
■実施期間:2024年5月~6月
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:新車購入後2~13ヶ月経過したユーザー(18歳以上)
■調査回答者数:21,412
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
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J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは自動車に関するデータと分析の国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。自動車業界及び一部の関連企業に、業界インテリジェンスや消費者インサイト、アドバイザリー、ソリューションを提供しています。
独自の広範なデータセットとソフトウェア機能を高度な分析および人工知能ツールと組み合わせて活用し、クライアントのビジネスパフォーマンスの最適化を支援しています。
J.D. パワーは 1968 年に設立され、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。
事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。
J.D. パワーでは、本調査以外にも、毎年複数の自動車関連調査の結果をリリースとして発表しています。
~2024年 J.D. パワー 自動車関連調査発表スケジュール~
8月:日本自動車セールス顧客満足度(SSI)調査
9月:日本自動車サービス顧客満足度(CSI)調査、日本自動車初期品質調査 (IQS)
10月:日本自動車商品魅力度(APEAL)調査 、日本中古車セールス顧客満足度(UVSSI)調査
11月:日本自動車テクノロジーエクスペリエンス(TXI)調査
12月:日本EVエクスペリエンス-オーナーシップ(EVX-O)調査