Press Release

装備率の高まりとともに、新技術や装備に対する不具合指摘が増加

ブランドランキングではダイハツが1位


 

J.D. パワー報道用資料:

東京:2017年8月31日 ―車両全体の不具合指摘は前年と同水準を維持した一方で、安全装備や新技術に対するユーザーの不具合指摘が増える傾向にあることが、J.D. パワー 2017年日本自動車初期品質調査SM(Initial Quality Study、略称IQS)によって明らかになった。

J.D. パワーの初期品質調査は、世界各国で実施され、新車の品質を調べる業界のベンチマークの役割を果たしている。日本では今年で7回目の実施となる。調査の結果、2017年の総合不具合指摘件数は76PP100であった。2016年は75PP100、2015年は80PP100であり、昨年と同水準の結果となった。

本調査では、新車購入後2~9ヶ月経過したユーザーを対象に233の項目にわたってユーザーの不具合経験を聴取しており、それらの項目は外装、走行性能、装備品/コントロール/ディスプレイ、オーディオ/コミュニケーション/エンターテインメント/ナビゲーション(ACEN)、シート、空調、内装、エンジン/トランスミッション(Eng/Trans)の8つの分野に分かれている。すべての不具合項目は車100台当たりの不具合指摘件数(Problems Per 100 vehicles = PP100)として集計され、数値が低いほど品質が高いことを示す。

Eng/Trans分野(8.2PP100、対前年-1.5PP100)とACEN分野(10.0PP100、対前年-1.3PP100)での改善が進んだ一方で、8分野中不具合指摘の最も多い内装分野(16.5PP100、対前年+0.9PP100)や次いで不具合指摘の多い装備品/コントロール/ディスプレイ分野(11.7PP100、対前年+1.4PP100)を中心に6分野のスコアが悪化している。

セグメント別でスコアを見ると、軽自動車セグメントとラージセグメント以外のセグメントで前年からのスコア悪化が確認された。特に、ミニバンセグメントの総合不具合指摘件数は76PP100となり、前年の69PP100から+7ポイント悪化した。同セグメントにおける不具合指摘が一番多い分野は内装(17.0PP100、対前年+2.7PP100)、次いで装備品/コントロール/ディスプレイ(12.8PP100、対前年+3.8PP100)である。装備品/コントロール/ディスプレイ分野の詳細項目を見るとアダプティブクルーズコントロールを含むクルーズコントロールシステム‐スイッチ類/アイコン表示が不便(0.8PP100、対前年+0.4PP100)や衝突回避/警告システム‐スイッチ類/表示が不便(0.7PP100、対前年+0.5PP100)など、安全装備や新技術関連の不具合項目の指摘件数が増加傾向にあることがわかる。コンパクトセグメントやミッドサイズセグメントにおいてもいくつかの安全装備や新技術の項目で不具合指摘の増加が見られた。

さらに、安全装備や新技術の装備率は全般的に前年から上昇しており、特に車線逸脱警告システム(レーンキープアシスト)で15.5%、衝突回避/警告システムで11.4%、パーキングアシストシステム(警告音/視覚センサー、カメラなど)で9.3%増加している。これら装備の装備率は過半数を超える水準となっており、消費者が安全装備や新技術を使用する機会が増えるとともに、装備に対する不具合指摘が増える傾向が確認された。

『安全装備や新技術が増える中で、消費者のこれら装備に対する関心も高まりつつあり、車選びの新しい基準になりつつある。一方で、実際にこれらの装備がついた車を購入したユーザーは、装備を日常的に使うようになってみると、使い方や分かりやすさについて、課題を感じる傾向がみられる。』とJ.D. パワー のオートモーティブ部門シニアディレクターである川橋敦は述べている。

『自動車会社各社は、今後、新技術の採用だけでなく、ユーザーにとっての使いやすさ、分かりやすさを高めることが、消費者の新技術や装備に対する親和性や信頼感につながるということを意識すべきである。』と川橋は指摘する。

<セグメント別の傾向>

●  軽自動車セグメント
総合不具合指摘件数は 70PP100で、前年から3ポイント改善した。Eng/Trans(-3.1PP100)の不具合指摘が最も減少している一方で、空調(+1.0PP100)と装備品/コントロール/ディスプレイ(+0.4PP100)の2分野で前年からスコアが悪化した。

●  コンパクトセグメント
総合不具合指摘件数は76PP100で、前年から2ポイント悪化した。外装(+2.2PP100)、シート(+1.0PP100)の2分野の不具合指摘の増加がスコア悪化の要因となっている。

● ミッドサイズセグメント
総合不具合指摘件数は84PP100で、前年から4ポイント悪化した。ACEN(-3.4PP100)は改善したものの、装備品/コントロール/ディスプレイ(+3.2PP100)、内装(+2.4PP100)、シート(+2.4PP100)、走行性能(+1.4PP100)がスコア悪化の一因となった。

●ミニバンセグメント
総合不具合指摘件数は76PP100で、前年から7ポイント悪化した。装備品/コントロール/ディスプレイ(+3.8PP100)を筆頭に、内装(+2.7PP100)、走行性能(+1.4PP100)、Eng/Trans(+1.3PP100)、空調(+0.4PP100)、外装(+0.1PP100)の6つの分野で前年からスコアが悪化した。

●ラージセグメント *1
総合不具合指摘件数は76PP100で、前年から5ポイント改善した。内装(+1.2PP100)や走行性能(+0.9PP100)でスコアは悪化した一方で、装備品/コントロール/ディスプレイ(-2.8PP100)など6分野で不具合指摘は減少した

2017年ランキングのハイライト

ブランドランキングでは、ダイハツが67PP100で第1位となった。第2位はホンダ(71PP100)、第3位はトヨタ(73PP100)となっている。

今回ランキングが発表された4つの車両セグメント別モデルランキングは以下のようになった。

●  軽自動車セグメント:ダイハツ ムーヴキャンバスとホンダ N-WGNが同率で1位、ダイハツ キャストとスズキ スペーシアが同率で3位となった
● コンパクトセグメント:トヨタ パッソが1位、次いでルーミーが2位、ヴィッツが3位となった
● ミッドサイズセグメント:スバル XVが1位、インプレッサが2位、トヨタ カローラが3位となった
● ミニバンセグメント:ホンダ フリードが1位、トヨタ シエンタが2位、次いでヴォクシーが3位となった

2017年の日本自動車初期品質調査は、新車購入後2~9ヶ月経過したユーザー22,924人から回答を得た。調査対象の車両は全16ブランド、108モデルであり、有効サンプル数が100サンプル以上のブランドおよびモデルをランキング対象としている。調査は2017年5月から6月にかけて実施された。

*1 対象モデル数が不十分なため、セグメントランキング公表対象外

 

 

*J.D. パワーが結果を発表する調査はすべてJ.D. パワーが第三者機関として自主企画により実施したものです。

<ご注意>

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