Press Release

証券会社は、コロナ禍とそれ以降もアドバイザーの満足度維持に苦戦

不満を抱えるアドバイザーは3倍以上の確率で所属する会社を乗り換え

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州 トロイ)は、現地時間7月7日に、J.D. Power 2021 U.S. Financial Advisor Satisfaction StudySM (J.D. パワー 2021年米国ファイナンシャル・アドバイザー満足度調査SMの結果を発表した。
 本調査は、年に1回、証券会社に所属した「従業員アドバイザー(Employee)」と証券会社と提携しているものの独立した「独立系アドバイザー(Independent)」の2部門に分け、6つのファクターに基づいてファイナンシャル・アドバイザーの証券会社に対する満足度を測定している。

 新型コロナウイルスによって業界全体で混乱が生じたにもかかわらず、金融市場の活況と手数料収益の大幅増加がファイナンシャル・アドバイザーの総合満足度を向上させた。しかし、全てのアドバイザーが所属あるいは提携する会社からの支援増加の恩恵を感じているわけではない。本調査によると、ワイヤーハウス*1に所属するアドバイザーは、ワイヤーハウス以外の証券会社や独立した投資顧問会社に所属するアドバイザーと比較し、会社からの支援不足、業務の滞りの拡大、リモートワークへの移行の困難などを感じている傾向が見られた。

*1 個人向け証券業を営む大手証券会社。本調査ではメリル、モルガン・スタンレー、UBS、ウェルス・ファーゴを指す。

 

2021年の調査の主なポイントは以下の通り:

ワイヤーハウスはアドバイザーの期待に応えられていない

 ワイヤーハウスは、アドバイザーへの収益の分配率やブランディング・キャンペーンでアドバイザーへの手厚いサポートを訴求しているが、実際にはコロナ禍においてアドバイザーの期待に応えられていないことが判明した。ワイヤーハウスに勤めるアドバイザーのうち、34%が「所属する/提携する会社からの支援が縮小した」、29%が「ビジネスへの悪影響があった」と回答した。いずれの場合も、ワイヤーハウスに所属するアドバイザーは、ワイヤーハウス以外の証券会社、独立した投資顧問会社に所属するアドバイザーと比較して約2倍の確率で新型コロナウイルス感染拡大による悪影響を経験している。また、ワイヤーハウスに所属するアドバイザーはリモートワークへの移行が困難であると回答した。
 モルガン・スタンレーは大幅に前年からの総合満足度の向上が見られた唯一のワイヤーハウスである。

 

不満を抱えるアドバイザーは3倍以上の確率で所属する会社を乗り換え

 2018年から2021年の会社ごとの総合満足度の推移を見たところ、総合満足度が最も低かった会社に所属するアドバイザーの18%が上記期間中に転職をしていたことがわかった。これに対し、総合満足度が最も高かった会社での転職率はわずか5%に止まった。離職したアドバイザーの年間収益の平均は約80万ドルに上り、アドバイザーから助言を受けている個人投資家の63%が、アドバイザーが転職した場合に証券会社を乗り換えてでもそのアドバイザーについていく可能性が高いと回答した。*2

*2 J.D. Power 2021 U.S. Full-Service Investor Satisfaction StudySM(J.D. パワー 2021年米国個人資産運用<フルサービス型>顧客満足度調査SM)調査結果より

アドバイザーの満足度とNet Promoter Score® (NPS®)*3に強い関連性

 従業員アドバイザー、独立系アドバイザー両部門において、満足度と推奨意向(継続意向も同様)の間に強い相関が見られた。総合満足度が900ポイント(1,000ポイント満点)以上であったアドバイザーの約3分の1(32%)が自身の所属する会社に勤務することを推奨すると回答した(NPS=97)。また、総合満足度が900ポイント以上であったアドバイザーのうち「離職する予定がある」と回答したのは2%に止まった。

*3 Net Promoter Score®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標

 

不満を持つアドバイザーに共通するのがテクノロジー面や運営へのサポートに関する悩み

 NPSで最低評価を残したアドバイザーの間で最も大きな悩みが、テクノロジー面や運営におけるサポートに関することである。不満を感じているアドバイザーのうち、所属する会社のテクノロジー面でのサポートが過去1年間で改善したと回答したのは、35%に止まり、過去1年間でトラブルを経験しなかったアドバイザーの割合についても12%に止まった。

 

J.D. パワー ウェルス・アンド・レンディング・インテリジェンス部門 シニアディレクター マイク・フォイのコメント

「アドバイザーの満足度と、アドバイザーの継続意向や推奨意向には強い関連性がある。そのため、企業がアドバイザーを最大限に活用するためには、アドバイザーがどのような状況下においても効率的に仕事ができるように最良のツールやサポートを提供する必要がある。今年は困難な年であったが、本調査によって、上記の課題に対して他社よりも明らかに優れた対応を行った企業が存在することが判明した。」

 

ファイナンシャル・アドバイザー満足度ランキング

【従業員アドバイザー(Employee)部門】

第1位:Edward Jones(エドワード・ジョーンズ) (890ポイント)

第2位:Raymond James & Associates(レイモンド・ジェームズ・アンド・アソシエイツ) (864ポイント)

第3位:Stifel(スタイフェル) (857ポイント)

【独立系アドバイザー (Independent)部門】

第1位:Commonwealth Financial(コモンウェルス・ファイナンシャル) (936ポイント)

第2位:Raymond James Financial Services(レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル・サービシズ) (853ポイント)

第3位:Cambridge(ケンブリッジ) (842ポイント)

《J.D. パワー 2021年米国ファイナンシャル・アドバイザー満足度調査SM概要》

年に1回、従業員アドバイザーと独立系アドバイザーの両者に対して、それぞれ、自社や提携先の証券会社に対する満足度を聴取し明らかにする調査。今年で15回目の実施となる。

■実施期間:2021年1月~4月 ■調査方法:インターネット調査

■調査対象:ファイナンシャル・アドバイザー(従業員アドバイザーと独立系アドバイザー)

■調査回答者数:3,029人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、アルファベット順に、 「報酬」、「リーダーシップと企業文化」、「運営サポート」、「商品とマーケティング」、「専門能力開発」、「テクノロジー」となっている。 

 

*本報道資料は、現地時間2021年7月7日に米国で発表されたリリースを要約したものです。

原文リリースはこちら 

https://www.jdpower.com/business/press-releases/2021-us-financial-advisor-satisfaction-study

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。

 

J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。

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