Press Release

顧客の期待が高まる中、リテール銀行は金融アドバイスで失敗

キャピタル・ワンが首位

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州 トロイ)は、現地時間6月23日に、J.D. Power 2022 U.S. Retail Banking Advice Satisfaction StudySM(J.D. パワー 2022年米国リテールバンキングアドバイス顧客満足度調査SMの結果を発表した。

本調査は、年に1回、メインで利用する全国系あるいは地方系リテール銀行でファイナンシャル・アドバイスを受け た顧客を対象に、直近1年以内に関連する商品やサービスやその他の金融ニーズについて提供されたアドバイス/案内 に対する満足度を明らかにするものである。5回目となる本年調査では、調査設計の変更が行われており、顧客満足度に関する過去調査との時系列でのスコアの比較はできない。

 

キャピタル・ワンが首位

家計の負担増、迫り来る景気後退、記録的な負債額という悪条件が重なる中、本調査によると、リテール銀行の顧客の59%が「金融機関が自分たちの財務状況を改善してくれることを期待している」と回答した。しかしその期待に応えた銀行はごくわずかとなった。実際には、全国系と地方系リテール銀行が提供するアドバイスや案内に対する総合満足度は、前年(2021年)から-30ポイント(1,000ポイント満点)も低くなった。

 

2022年調査の主なポイントは以下の通り:

 

案内の頻度の少なさと質の悪さが顧客満足度の著しい低下を助長

リテール銀行が提供するアドバイスや案内に対する業界全体の総合満足度は601ポイントとなり、前年比-30ポイントの大幅な低下となった。低下傾向は測定されたすべての満足度の詳細評価項目で見られたが、最も低下幅が大きかったのは、「アドバイス/案内の頻度」と「アドバイス/案内の質」であった。この傾向は、様々な年齢層や様々なカテゴリーの財務状況の顧客で顕著に見られた。金融機関は自分の財務状況を改善するためのサポートをするべきであるという顧客の期待に応えられていない現状が明らかになった。

 

顧客のアドバイス想起率は低下

多くの銀行が、顧客のアドバイスに対するニーズに応えようとしているにもかかわらず、顧客の具体的なアドバイス内容の想起率は低下している。今回の調査では、63%の顧客が、ファイナンシャル・プランニング、投資と退職金運用、貯金、資産運用に関する秘訣・情報、銀行サービスなどのカテゴリーで2つ以上の種類のアドバイスを受けたと回答した。これは、前年(70%)からの-7ポイントの低下である。中でも、貯金や資産運用に関する秘訣・情報に関するアドバイスが最も低下した。低下が見られなかったのは、借入と住宅関連サービスのみであった。

 

リテール銀行の顧客は財務的な弱さを感じている

J.D. パワーは、回答者から得た支出/貯金比率、信用力、保険対象範囲などのセーフティネット項目に関するデータを用いて、顧客の財務的健全性を評価し、「健全」から「脆弱」まで、顧客を連続的に分類している。アドバイスを受けたことのあるリテール銀行の顧客のうち財務的に「健全」のカテゴリーに分類された顧客は47%に止まった。残りの53%は、「脆弱(28%)」、「債務過多(16%)」、「信用逼迫(9%)」のいずれかに分類される。

 

今後の展望

リテール銀行の顧客は、アドバイスや案内を求めている。2つ以上のアドバイスがあった場合、総合満足度は+52ポイント上昇するが、月並みなアプローチでは不十分である。アドバイスや案内は、顧客に合わせてパーソナライズ化されたものでなければならず、適切な人に適切なタイミングで提供されなければならない。顧客のニーズに合わせたアドバイスができれば、顧客満足度は更に高まる。一度でもパーソナライズ化されたアドバイスを受けた顧客の満足度(697ポイント)は、パーソナライズ化されていないアドバイスを5つ以上受けた顧客の満足度(583ポイント)を上回るとの結果が得られた。

 

J.D. パワー バンキング・アンド・ペイメント・インテリジェンス部門 シニアディレクター、ジェニファー・ホワイトのコメント

「この数年間、消費者にとって厳しい状況が続いており、消費者が直面する財務的なプレッシャーの多くは、すぐには収まらないだろう。リテール銀行の顧客は案内を求めているが、多くの場合、求める案内を受けていないことがデータから明らかになった。銀行が自由に使えるツールは必ずしも使用されておらず、使用されている場合でも効果的に使われてはいない。このような状況では、銀行も顧客も利益を得ることはできない。銀行はアドバイスの内容を顧客に響くものにするためにもっとレベルアップしなければ、大きな顧客喪失リスクに直面することになるかもしれない。」

 

顧客満足度ランキング

第1位:Capital One(キャピタル・ワン)(629ポイント)

第2位:Citibank(シティバンク)(620ポイント)

第3位:Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)(618ポイント)

 

バンキング財務健全性サポート指数

バンキング財務健全性サポート指数で最上位を獲得したリテール銀行は、アルファベット順に、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)、Capital One(キャピタル・ワン)、Chase(チェース)、 Huntington(ハンチントン)、U.S. Bank(USバンク)となった。

 

クレジットカード財務健全性サポート指数

クレジットカード財務健全性サポート指数で最上位を獲得したクレジットカード会社は、アルファベット順に、American Express (アメリカン・エキスプレス)、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)、Discover (ディスカバー)、Fifth Third Bank(フィフス・サード・バンク)、PNC、U.S. Bank(USバンク)となった。

《J.D. パワー 2022年米国リテールバンキングアドバイス顧客満足度調査SM概要》

年に1回、メインで利用する全国系あるいは地方系リテール銀行からファイナンシャル・アドバイスを受けた顧客を対象に、過去1年間に商品/サービス/その他の金融ニーズを踏まえて提供されたアドバイス/案内に対する満足度を聴取し明らかにする調査。今回で5回目の実施となる。

■実施期間:2022年1月~2月 
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:メインで利用する全国系あるいは地方系リテール銀行からファイナンシャル・アドバイスを受けた顧客 
■調査回答者数:5,177人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「アドバイス/案内の明確さ」(21%)、「アドバイス/案内の頻度」(20%)、「アドバイス/案内の質」(20%)、「アドバイス/案内の適切さ」(20%)、「顧客ニーズへの関心」(19%)となっている(カッコ内は影響度)。

 

*本報道資料は、現地時間 2022年6月23日に米国で発表されたリリースを要約したものです。

原文リリースはこちら 

https://www.jdpower.com/business/press-releases/2022-us-retail-banking-advice-satisfaction-study

 

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。

J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者のインサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。 

 

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