Press Release

顧客の理解不足により、デジタルアドバイスは潜在的な能力を発揮できていない

若手投資家はデジタルアドバイスに好意的だが、証券会社は普及を促進するメリットを効果的に伝えきれていない

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である J.D. Power(本社:米国ミシガン州 トロイ)は、現地時間4月13日に、J.D. Power 2023 U.S. Self-Directed Investor Satisfaction StudySM (J.D. パワー 2023年米国個人資産運用<自己決定型>顧客満足度調査SMの結果を発表した。

この調査は専任のファイナンシャル・アドバイザーを持たない投資家向けの資産運用サービスについて聴取したもの で、証券会社に対する満足度を測定している。必要に応じてアドバイスを受けている「ハイブリッド型(Seeking Guidance)」と、ファイナンシャル・アドバイスを受けない「セルフサービス型(Do-It-Yourself)」の2タイプの投資家タイプに分けて調査している。

 

若手投資家はデジタルアドバイスに好意的だが、証券会社は普及を促進するメリットを効果的に伝えきれていない

過去数年間、デジタル変革が進み、ミーム株、暗号資産、その他ほぼすべてのアセットクラスの盛衰を経たセルフサービス型投資革命の後、若手投資家は岐路に立たされている。彼らの多くはガイダンスを求め、大多数が証券会社からのデジタルアドバイスに前向きである一方、テクノロジーが自分のポートフォリオをどのように管理しているかを理解している人は少ない。本調査によると、この理解不足は、セルフサービス型の若手投資家と長期的な関係を築こうとする証券会社にとって課題となり得る。

 

2023年調査の主なポイントは以下の通り:

 

ミレニアル世代とZ世代は、デジタルアドバイスへの受容度が高い

セルフサービス型の若手投資家はアドバイスを渇望しており、大多数がデジタル、つまりロボットアドバイザー(ロボアド)に好意的である。現在、Z世代 *1 の86%、ミレニアル世代 *1 の79%の投資家がロボアドを受けることに関心を持っている。これらの数字は、市場環境が厳しくなった過去3年間で、それぞれ+5ポイント、+3ポイント増加した。

*1 J.D. パワーでは、1946年より前に生まれた人をプレブーマー世代、1946-1964年に生まれた人をブーマー世代、1965-1976年に生まれた人をX世代、1977-1994年に生まれた人をY世代、1995-2004年に生まれた人をZ世代と定義している。Y世代の中で、特に1982-1994年に生まれた人をミレニアル世代と定義している。

 

デジタルアドバイスへの理解不足が蔓延

デジタルアドバイスへの関心は高いものの、その仕組みを理解している投資家はごくわずかである。現在、証券会社が提供するロボアドを利用している投資家のうち、そのテクノロジーが自分のポートフォリオをどのように管理しているかを「完全に理解している」と答えた人は22%にとどまった。デジタルテクノロジーの仕組みがよくわからないと答えた投資家のNPS®(ネット・プロモーター・スコア®)*2 は大幅に減少する傾向もみられている。

*2 ネット・プロモーター・スコア®及びNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

 

人的サポートが重要

セルフサービスやロボアドという言葉に惑わされてはいけない。自己決定型の投資家であっても、口座開設に伴う登録プロセスや技術的な質問への回答、問題解決に関して、依然として人的サポートを求めている。人的サポートは、デジタルアドバイスの透明性と信頼性を高める上でも重要な役割を果たす。

 

J.D. パワー エグゼクティブ・マネージング・ディレクター兼ウェルス&レンディング・インテリジェンス部門 部門長 クレイグ・マーティンのコメント

「ほとんどの取引手数料が廃止され、多くの投資家が必要とする中核的な機能が普遍的に利用できるようになった今、証券会社は他社と差別化できる価値提案を行うことが課題となっている。デジタル、つまりロボアドは、長期にわたってより価値の高い関係性を構築することを可能とする付加価値の高いサービスを提供するための理想的なプラットフォームである。しかし、証券会社は、デジタルアドバイスがどのように機能するかを説明し、投資家に対する明確な価値提案をする必要がある。今現在、投資家は興味を持っているが、長期的に活用を続けるのであれば、サービスの価値を理解する必要がある。」

 

顧客満足度ランキング

【ハイブリッド型(Seeking Guidance)*3 セグメント】

第1位:Fidelity(フィデリティ)(704ポイント)

第2位:E*TRADE(Eトレード)(698ポイント)

第3位:Charles Schwab(チャールズ・シュワブ)(695ポイント)

 

【セルフサービス型(Do-It-Yourself)*4 セグメント】

第1位:Vanguard(バンガード)(734ポイント、3年連続の総合満足度第1位)

第2位:T. Rowe Price(ティー・ロウ・プライス)(724ポイント)

第3位:Charles Schwab(チャールズ・シュワブ)(717ポイント)

*3 専任のファイナンシャル・アドバイザーはいないが、必要に応じてアドバイスを受けることが可能な投資家
*4  ファイナンシャル・アドバイスを受けない投資家

 

《J.D. パワー 2023年米国個人資産運用<自己決定型>顧客満足度調査SM概要》

年に1回、米国の自己決定型投資家を対象に、証券会社に対する満足度を聴取し明らかにする調査。
今回で 21 回目の実施となる。

■実施期間:2022年10月~2023年1月 
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:ハイブリッド型投資家 及びセルフサービス型投資家
■調査回答者数:5,165人

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に 1,000 ポイント満点で総合満足度スコアを算出。総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に以下の通り。

【ハイブリッド型】:「信頼性」(18%)、「顧客対応(対人チャネル)」(16%)、「商品・サービス」(14%)、「手数料」(14%)、「資産管理の利便性(方法・時間)」(13%)、「顧客対応(デジタルチャネル)」(13%)、「問題解決」(11%)

【セルフサービス型】:「信頼性」(20%)、「顧客対応(デジタルチャネル)」(15%)、「商品・サービス」(15%)、「資産管理の利便性(方法・時間)」(15%)、「手数料」(14%)、「顧客対応(対人チャネル)」(12%)、「問題解決」(9%)

 

*本報道資料は、現地時間 2023年4月13日に米国で発表されたリリースを要約したものです。
原文リリースはこちら

https://www.jdpower.com/business/press-releases/2023-us-self-directed-investor-satisfaction-study

 

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。

 

【ご注意】本紙は報道用資料です。弊社の許可なく本資料に掲載されている情報や結果を広告や販促活動に転用することを禁じます。

 

J.D. パワーについて:
J.D. パワー(本社:米国ミシガン州トロイ)は消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データ分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。50年以上にわたり、ビッグデータやAI、アルゴリズムモデリング機能を駆使し、消費者行動を捉え、世界を牽引する企業に、ブランドや製品との顧客の相互作用に関する鋭い業界インテリジェンスを提供するパイオニアです。

J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。

 

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