CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、2025年個人株主満足度調査の結果を発表した。
個人株主の満足度を測定する2回目の調査。「総合商社」、「医薬品」業種を追加
グローバルな競争環境において、日本企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指すことを目的に、東京証券取引所を中心とした日本企業のコーポレートガバナンス改革が加速している。また投資家からのより高水準なガバナンスを求める声もあり、その重要性が年々増加していると言える。
このような背景から、J.D. パワーでは、個人株主が保有する株式発行会社の収益性やコーポレートガバナンスに対する取り組みなどを網羅的に聴取する本調査を昨年(2024年4月発表)より実施しているが、本年は新たに「総合商社」と「医薬品」の2業種を加え、「自動車」、「銀行」、「証券」、「保険」と合わせた計6業種を対象として実施した。
本調査では、個人株主の企業に対する総合的な満足度の測定にあたり「収益性/株主還元」、「事業内容と商品・サービス」、「財務安定性」の3ファクターに加え、東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードに即した「株主の権利・平等性の確保」、「適切な情報開示と透明性の確保」、「取締役会等の責務」、「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」の4ファクターを設定し、総合的な満足度を測定している。加えてこの調査では各ファクターに関連する項目として、企業の姿勢や情報発信、開示などについて「そう思う」、「まあそう思う」、「あまりそう思わない」、「そう思わない」、「わからない」といった形式で聴取する設問を各ファクター別に3~6問設置している。どのような情報が個人株主に認知、認識、伝達されているか、他の企業と比べてどうかについて、株主からの評価書のような位置づけで確認できる調査として実施している。
個人株主の満足度を高めることは、ロイヤルティ醸成に寄与
本調査においては株主の満足度を1,000ポイント満点で測定している。満足度の高い層と低い層で比較すると、満足度が高い層ほど保有株式の継続保有意向、増額意向、他者への推奨意向がいずれも高く、満足度とロイヤルティには相関があることが確認された。
ただし、ロイヤルティの種類によってはその傾向に違いが見られる。継続保有意向(「そう思う」と「まあそう思う」の合計)では、満足度が500ポイント未満では50%程度に過ぎないものの、500ポイント以上では90%以上となっている。一方、増額意向や推奨意向では、満足度が800ポイント以上でようやく90%以上となっている。
多くの企業が、資本や経営の安定、信頼性の向上や会社のファン獲得といった観点から、長期保有株主の増加に向けた活動に注力している中で、個人株主の満足度醸成は、企業において長期保有株主の形成に有効であることが確認されたと言える。
高年層と若年層で満足度に違い
個人株主の満足度を年代別に分析すると、若年層(20代~30代)ほど満足度が高く、高年層(60代)ほど低いことが分かった。7つのファクターいずれにおいても同様の傾向が確認され、ファクターに関連する実態設問の大半でも若年層ではポジティブ(「そう思う」や「まあそう思う」)に、高年層ほどネガティブ(「あまりそう思わない」や「そう思わない」)に捉える傾向が確認された。この要因としては、高年層ほど株取引の経験が長い傾向があり、情報の見極めや取引が慎重になるため、同じ経験をしても満足度が上がりにくくなっていることや、長期保有株式の株価の変化により売却の判断がしづらい状態にある顧客層が一定数存在することなどが可能性として考えられる。
一方、高年層と比較して若年層では満足度が高く、企業からの情報発信や認識状況についても総じてポジティブな姿勢が見える。長期保有株主を育てていくという観点では、こうした若年層の満足度を維持向上できるよう、企業と株主のエンゲージメントを高めていく施策が重要であると考えられる。
J.D. パワー 2025年個人株主満足度No.1を発表
総合満足度ランキングは下記の通り。
<自動車部門>(対象4社)
第1位:トヨタ自動車(744ポイント)
2年連続の総合満足度第1位。「収益性/株主還元」、「事業内容と商品・サービス」、「財務安定性」、「株主の権利・平等性の確保」、「適切な情報開示と透明性の確保」、「取締役会等の責務」、「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」の全7ファクターで最高評価。
第2位:本田技研工業(691ポイント)
<銀行部門>(対象6社)
第1位:三井住友トラストグループ(旧三井住友トラスト・ホールディングス)(776ポイント)
「収益性/株主還元」、「事業内容と商品・サービス」、「財務安定性」、「株主の権利・平等性の確保」、「適切な情報開示と透明性の確保」、「取締役会等の責務」、「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」の全7ファクターで最高評価。
第2位:三井住友フィナンシャルグループ(706ポイント)
第3位:三菱UFJフィナンシャル・グループ(681ポイント)
<証券部門>(対象6社)
第1位:SBIホールディングス(718ポイント)
2年連続の総合満足度第1位。「収益性/株主還元」、「事業内容と商品・サービス」、「財務安定性」、「株主の権利・平等性の確保」、「適切な情報開示と透明性の確保」、「取締役会等の責務」、「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」の全7ファクターで最高評価。
第2位:大和証券グループ本社(689ポイント)
第3位:東海東京フィナンシャル・ホールディングス(679ポイント)
<保険部門>(対象4社)
第1位:MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス(768ポイント)
「収益性/株主還元」、「事業内容と商品・サービス」、「財務安定性」、「株主の権利・平等性の確保」、「適切な情報開示と透明性の確保」、「取締役会等の責務」、「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」の全7ファクターで最高評価。
第2位:東京海上ホールディングス(728ポイント)
<総合商社部門>(対象6社)
第1位:伊藤忠商事(755ポイント)
「収益性/株主還元」、「事業内容と商品・サービス」、「財務安定性」、「株主の権利・平等性の確保」、「適切な情報開示と透明性の確保」、「取締役会等の責務」、「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」の全7ファクターで最高評価。
第2位:三井物産(729ポイント)
第3位:三菱商事(723ポイント)
<医薬品部門>(対象6社)
第1位:大塚ホールディングス(735ポイント)
「事業内容と商品・サービス」、「財務安定性」、「株主の権利・平等性の確保」の3ファクターで最高評価。
第2位:塩野義製薬(734ポイント)
第3位:エーザイ(719ポイント)
J.D. パワー 2025年個人株主満足度調査SM概要
年に1回、個人株主を対象に、コーポレートガバナンスを含む、企業に対する満足度を聴取し明らかにする調査。今回で2回目の実施となる。個人株主の定義は下記の通り。
東証プライム市場に上場している以下の条件に合致する対象企業の株式を1年以上継続して保有しており、かつその株式を調査時点で100株以上保有している個人株主。回答者が各部門で複数の株式を保有している場合、調査時点で保有金額が最も大きい株式を発行する企業についての評価を聴取している。
<自動車部門>
東証33業種区分で「輸送用機器」に該当する株式のうち、乗用車の完成車メーカーでかつ、2024年9月最終営業日時点で時価総額5,000億円以上の株式
<銀行部門>
東証33業種区分で「銀行業」に該当する株式のうち、2024年9月最終営業日時点で時価総額1兆円以上の株式
<証券部門>
東証33業種区分で「証券、商品先物取引業」に該当する株式のうち、証券関連収益構成比率が50%以上でかつ、2024年9月最終営業日時点で時価総額1,000億円以上の株式
<保険部門>
東証33業種区分で「保険業」に該当する株式のうち、2024年9月最終営業日時点で時価総額8,000億円以上の株式
<総合商社部門>
東証33業種区分で「卸売業」に該当する株式のうち、総合商社でかつ、2024年9月最終営業日時点で時価総額5,000億円以上の株式
<医薬品部門>
東証33業種区分で「医薬品」に該当する株式のうち、2024年9月最終営業日時点で時価総額1兆2,000億円以上の株式
■実施期間:2025年1月上旬~中旬
■調査方法:インターネット調査
■調査対象:該当する企業の株式を1年以上継続して保有しており、かつその株式を調査時点で100株以上保有している個人株主(20歳~69歳)
■調査回答者数:7,720人
総合的な満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。
総合満足度を構成するファクターは、総合満足度に対する影響度が大きい順に、「収益性/株主還元」(21%)、「事業内容と商品・サービス」(21%)、「財務安定性」(18%)、「株主の権利・平等性の確保」(10%)、「適切な情報開示と透明性の確保」(10%)、「取締役会等の責務」(10%)、「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」(9%)となっている(カッコ内は影響度)。
*本調査で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言を目的としておりません。投資の判断は自己責任で行っていただきますようお願いいたします。
*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。
詳細はhttps://japan.jdpower.com/ja/our-benchmarking-study-methodologyをご覧ください。
<ご注意>チャートやデータを記事に引用する場合には、出典元として本調査名を明記してください。
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J.D. パワーについて:
米国に本社を置くJ.D. パワーは消費者インサイト、アドバイザリーサービス、データと分析における国際的なマーケティングリサーチカンパニーです。ビッグデータや人工知能(AI)、アルゴリズムモデリング機能を活用して消費者行動をとらえる先駆者であり、消費者に関する鋭い業界インテリジェンスを提供してきました。J.D. パワーは半世紀以上に渡って、顧客とブランド・製品に関わり続け、主要産業における世界の大手企業から、顧客対応戦略の指針として信頼されています。
J.D. パワーは、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋にオフィスを構えています。事業内容の詳細については、https://japan.jdpower.com/jaをご覧ください。