コンタクトセンターの顧客満足に最も大きいウェイトを占めるドライバーをいかに改善するか
【カスタマーサービス アドバイス&インサイト】第1回:コンタクトセンターの顧客満足に最も大きいウェイトを占めるドライバーをいかに改善するか?
※本記事は2023年1月30日に米国J.D. パワーにて発行されたコラム("How to Improve on the Highest Weighted Driver of Customer Satisfaction" By Scott Killingsworth)を翻訳したものです。
J.D. パワーが2011年以来行っている調査によると、電話を通じてオペレーターが行うカスタマーサービスの満足度に最も大きく影響する要因は、「問題解決の早さ」であることが明らかになっている。この要因による影響度が最も大きいものの、ほぼ一定の重要性を過去10年間保っていた「担当者(オペレーター)の知識」および「担当者(オペレーター)による顧客ニーズへの配慮」は、今回の調査で共に重要性が増した。
これらの要因は顧客満足度にどのような影響を与えるのか?
コンタクトセンターにおける顧客体験は、顧客が経験したことの記憶や認識、具体的には電話をした用件が解決されたか否か、という択一的な尺度がすべてではない。解決に至るまでの対話のプロセスや、担当者(オペレーター)が示す主要な行動にも影響を受ける。例えば、次のような行動がキーとなる。
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担当者(オペレーター)は、顧客が抱える問題/課題と、それが顧客にどのような影響を及ぼしているかをきちんと理解するために必要な関心を持っているか?
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担当者(オペレーター)は、顧客が抱える問題/課題を解決するための知識とスキルを十分に発揮しているか?
「問題解決の早さ」の評価と高い相関が見られた行動の1つとして、担当者(オペレーター)が「問題/課題に対する次のステップを明確に説明していること」がある。当社調査において顧客満足度の高い企業の顧客は、ほとんどの通話でこのような説明が行われていると回答したが、説明がなかった場合の影響は極めて大きい。担当者(オペレーター)が次のステップを明確に『説明しなかった』と答えた顧客のカスタマーサービスに対する満足度は、-206ポイント低下する(1,000ポイント満点)。 この特定のステップが適切に行われなかった結果、満足度が20%以上低下していることから、コールセンターの担当者(オペレーター)の応対レベルの診断においては、単に問い合わせを解決することだけでなく、どのような行動をしているかを把握することがいかに重要であるかが分かる。
さらに踏み込むと、通話内容の要点をまとめるステップが行われないと、顧客は自分の問題/課題が解決されていない、あるいは解決への道筋が見えないと認識し、再度電話をかける可能性が高まる。これは、顧客の満足度に大きな影響を与えるだけでなく、同じ問題や課題について何度も通話が必要となる可能性があるため、コストも増加させることになる。
何からすべきか?このベストプラクティスからスタートを。
顧客の満足度向上や、担当者(オペレーター)に解決力がある/知識がある/気づかいがあるといった顧客からの認識を高めるためには、以下のベストプラクティスから始めることを提案する。
担当者(オペレーター)が顧客と通話の要点確認を行うことを徹底することである。
当社調査によると、優れた通話の要点確認には、問題解決に向けた次のステップとそのタイミングの両方について明確な説明が含まれている。次のステップや問題解決のタイミングがわからないことは顧客にストレスを与え、そのようなストレスは問題が解決したとの認識を低下させ、たとえ問題が解決された、または解決されるとしても、再度電話をかける可能性が高くなる。優れた通話の要点確認とは、次のステップを明確に説明するだけでなく、次のステップのタイミングと、必要であればその間に顧客が取るべき行動を説明するものである。(顧客から、単にトークスクリプト通りに行っているものだと思われてはいけないが、そのトピックについてはまた別の機会に)
当インサイトの背景にあるデータ:J.D. パワーは、毎年12月に、業界を問わず何十万件ものコンタクトセンターの顧客対応データを分析し、ベンチマークを作成するとともに、カスタマーサービスの満足度を促進しているドライバーを調査しています。
J.D. パワーでは業界ベンチマーク調査データや各種トレーニング・コンサルティングを通じて、コンタクトセンターのCX向上を支援しています。
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