コラム

オムニチャネルサポートでのコーチングとトレーニングの重要性

【カスタマーサービス アドバイス&インサイト】第7回 :オムニチャネルサポートでのコーチングとトレーニングの重要性

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※本記事は2023年6月27日に米国J.D. パワーにて発行されたコラム(”Coaching and Training: Keys to Performance Improvement in an Omnichannel Environment” by Denese Waiters)を翻訳したものです。
 
顧客は、カスタマーサービスの担当者(以降、オペレーター)の自分への接し方が、その企業からの自分の評価に等しいと捉える。そのため、パフォーマンスの高いコンタクトセンターチームが決定的に重要と言える。そのパフォーマンスと改善を管理する上で、トレーニングとコーチングは切っても切れない関係にある。
 
 
トレーニング
Training
特に顧客の期待が変化していく状況では、コンタクトセンターのチームメンバーが最新のスキルを常に保てるよう、定期的かつ一貫したトレーニングが必要となる。
オムニチャネル環境でコンタクトセンターを運営する際にコンタクトセンターのリーダーが直面する最大の課題の1つは、顧客がサポートチャネルを切り替える際に、同じ内容を繰り返す必要性を排除することである。
顧客は、シームレスで手間のかからない体験を望んでいる。実際に、J.D. パワーの調査によると、顧客が情報を繰り返す必要がある場合、総合満足度(1,000ポイント満点)は85ポイント低下することが分かっている。
この問題を根絶するためには、オペレーターが、顧客のカスタマーサービス全利用履歴、あるいは少なくとも直近のやりとりについて、統合されたオムニチャネルサポートプラットフォームで確認できる必要がある。
また、オペレーターは必要な顧客情報にアクセスし、プロアクティブかつパーソナライズ化された方法で問題を解決するための最適なステップを特定するために、十分なトレーニングを受ける必要がある。
 
トレーニングでは、問い合わせ用件やカスタマージャーニーによって、どのサポートチャネルが最も効率的であるか、また、顧客が各チャネルに何を期待しているかをオペレーターに明確に理解させる必要がある。
これらの情報を得ることで、オペレーターは顧客の悩みを適切に取り除き、顧客を最も効果的なチャネルに導き、問題をタイムリーかつシームレスに解決することができる。
 
さらに、継続的でモジュール化されたトレーニングは、タイムリーな品質保証プロセスを通じて特定された具体的なカスタマーサービスの提供品質上の問題点に対処できるよう、十分に柔軟でなければならない。
学習速度はオペレーターによって異なり、他のオペレーターより多くのトレーニング量を必要とするオペレーターもいるため、各人が遅れをとっている分野においてギャップを埋めるためのトレーニングを受けられるようにすることが重要である。
どんなに優秀なオペレーターでも、トレーニングの繰り返しは有益である。継続的なトレーニングは、従業員のエンゲージメントを向上させ、前向きな学習環境を育み、組織の業務効率を高めるという利点もある。
 
コーチング
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トレーニングは高いパフォーマンスを発揮するための出発点であるが、コーチングはそれを強化し、さらに磨き上げるものである。コーチングは、間違いなく現場のリーダーにとって最も重要なタスクであり、リーダー個人のスキルに依存するところが大きい。
コーチングは、タイムリーで、具体的で、焦点を絞ったものでなければならない。また、組織全体の目標を達成し、KPIを改善し、最終的には優れたカスタマーサービスを提供するために、チームメンバーのやる気を引き出し、鼓舞するものでなければならない。
実際、J.D. パワーの認証(J.D. Power Certified Customer Service)*を取得した企業の50%が、オペレーターに対して1人あたり毎月2〜4時間のコーチングを割り当てている。認証された企業のうち、最もスコアの高い企業は、実際にはそれ以上の時間をかけている。
 

カスタマーサービスサーティフィケーションの認証を受けるには、そのサービスチャネルが、J.D. パワーの業界横断的な顧客満足度調査で設定されたベンチマークに基づくカスタマーサービス・スコアの上位20%以内に入らなければならない。評価基準には、カスタマーサービス担当者の礼儀正しさ、知識、顧客に対する配慮、担当者に繋がるまでの迅速さ、問題解決やリクエストへの対応のタイムリーさなどが含まれる。さらに、自動電話システム使用の顧客体験は、提供される情報の明確さ、電話メニューの操作のしやすさ、電話メニューの指示の理解のしやすさに基づいて評価される。 ベンチマークを満たすことに加えて、組織は、業界を超えたトップパフォーマーによる先進的なベスト・プラクティスに基づく業務評価にも合格しなければならない。
https://www.jdpower.com/business/certified-customer-service-program

 
コンタクトセンターのオペレーターと同様に、現場のリーダーにも一貫した継続的なトレーニングが必要である。なぜなら、彼らは顧客とオペレーター双方の体験を向上させ、最適化する責任があるからである。
これが特に重要な理由は、現場リーダーの多くは、元々優秀なオペレーターからリーダーに昇進したため、コーチングのスキルが不十分である可能性があるからである。
そのため、コーチングとは単にフィードバックを提供することと混同されがちである。
コーチングのスキルを開発するためのトレーニングは、現場のリーダーにとって、しばしば見過ごされがちな重要な機会であり、これがコーチングプロセスを補完するデジタルツールが台頭している理由でもある。
カスタマーセントリック(顧客中心主義)を掲げる企業は、1対1のコーチングをベースとすることの重要性を理解しており、次のレベルのカスタマーサポートを提供するための組織に進化させている。
 
まとめ
トレーニングとコーチングに投資することは、パフォーマンスの高いオムニチャネル・コンタクトセンターを育成する上で非常に重要である。コーチングとトレーニングがうまく機能すれば、ごく平均的なコンタクトセンターは、行き届いたハイパフォーマンスなコンタクトセンターへと生まれ変わることができるだろう。
 
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